†捧げ物†

□シェイプアップ週間
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『1、2、3、4、5、6、7、8…』
「何やってんスか?コンさん」



昼休みの会議室、TVに映し出されるトレーナーと共に同じ動作を繰り返す左近に孫市は首を傾げた。
当の本人はというとその逞しい肉体を柄シャツで包み、懸命に腕を振っている。



「その呼び方は止めて下さいって。マイキーズ・ブートキャンプですよ。知らないんですか?最近流行ってるんです」
そう言えば営業の女の子たちが騒いでいた気がする。
確か何kg痩せたとかウエストが何cm細くなったとか言ってた様な…。
その手の美容の話題にはとんと疎い自分には無関係と聞き流していたのだが、まさかこんな近くでやってる奴がいるとは。



「雑賀さんもどうです?結構効きますよ」
はい、と渡されたゴムチューブの様な物を見て孫市は顔をしかめた。TVに映る筋肉隆々のトレーナーが忙しなくエクササイズする所を見てると物凄く大変そうだ。




「いや、俺は遠慮しておくよ。あそこ迄はなりたくないしな」
チューブを突き返す孫市に左近はお腹の辺りを指差してニヤリと笑う。
「そうは言いますけど雑賀さん、幾ら何でもその腹はヤバいんじゃないですか?
前より出てきましたけど」
そういえば…とこっそり背中の肉を掴むと前と違った嫌な感触が孫市の手に伝わる。
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