ソレイユの悲劇

□第九話
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「今頃きて父親づらするんじゃねぇよ」
夜も更けて寄宿舎の外は風もあって体温を奪う。
それでも、これくらいの寒さならまだ上着はいらない。
カインがクロエを呼んで外に出たが話始めたのはクロエだった。
端から聞いたらなんて親不孝な息子だろう。しかしカインはクロエが本気でそう言っているわけではないことは容易に汲めた。
「なんとでも言って。あ、今日のグレープフルーツの、おいしかったよ。」
素直な感想だったのににらまれた。
その目がほら、似てるんだって。
はぐらかせないとわかっているからカインは苦笑して続けた。なぜ、今更現れたのか。
「まがりなりにも父親だからね。今までもちゃんとみてたよクロエのこと」
クロエは玄関口の段差に腰かけてため息をついた。
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