ソレイユの悲劇

□第四話
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「いい天気だね」
ラインがバルコニーに上がってきて隣に座って言った。そういえばはしごを消していなかった。
「ああ」
陸兵宿舎の入口すぐ左に下ろしたはしごは、クロエが目障りだと消して必要なときだけに出現させていた。
宿舎の壁を背に日光浴、をしていたクロエは目をあけることもなく答えた。
この国はいつもこんな天気だが。
「どうかしたかライン」
のけぞらせていた首をもとに戻して聞くとラインはうれしそうに笑って答える。
「ホールにクロエがいないから探しにきたの。ホールには……居づらかったから」
クロエは現在ホールにいる面々を頭に浮かべた。
イーフィイにユーデュロイ、ペイズリーとワイヤとワイン。
……まぁ、ラインにとっては身内は1人だ。
「寝てるかと思った」
クロエは何も言わずラインの肩をかりるようにもたれた。膝を抱えたまま。
「クロエ?」
突然の行動にラインは戸惑いを隠さなかった。
「ラインむちゃくちゃかわいいな」
「え?! 何突然」
「襲いたくなってきた」
クロエがいなかったら、間違いなくラインは逃げていた。今はクロエに肩をかしているからしないけれども。
「え、ぇぇ?」
「我慢できない」
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