ソレイユの悲劇

□第十話
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「はっはーん。じゃあクロエはあれだね、唯一何もせずにレベルアップできるところでレベルダウンしたわけね」
クロエはみんなが寝静まってから、一人テラスに上がっていた。
『一人』ではないが。
「ダウンも何も、使えない魔術なんか、あっても意味がないだろう」
そう。クロエは純化中に魔術を使った。
ワイヤを救出して反対派を打ちのめし、隣国まで飛んでラインを取り返してきた。
「ふふん。まーたしかにね」
楽しそうにクロエの近況を聞いているのはテラスの先に乗る。30センチばかりの人だ。
髪が足の領域まであって月の光で金糸にも銀糸にも見える。背から生えた4枚の羽あり身体が半透明である。
彼女がクロエがワインの持っていた古書を解読した本人だ。
「純化、だっけ? あれって知らせとか来るの?」
「いや、時期。魔術を始めてからの」
「まさか数えてたの?」
クロエが何年何日と数えてるのを想像しているらしい彼女はうわぁ…とごちている。
すかさず誰がそんな風に数えるかと否定し、
「俺がワイヤの父親になったのが13。今ワイヤが12だから、そうやって覚えた」
「そっか」
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