ソレイユの悲劇

□第九話
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―――親父。


今でも覚えてる。

真っ赤に光る自家用車の助手席の座り心地。

家に全く帰ってこないのはどうかと思ってはいたけど、それでも自慢の父親だった。

家出しようが何しようが俺に対する態度は変わらなくて、連れ戻したりもしなかった。その方が助かった。

車なんて珍しかったから、そこから外を見ることが上に立ったみたいで気持ちがよかった。

いつか、カインと並んでやると思ってたんだ――。



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