ソレイユの悲劇

□第七話
1ページ/24ページ




「――あはは。それはまたえらいのを敵に回したね」
雲のすきまから見え隠れする月明かりの下。
笑われて、クロエは心底腹立たしそうに言い返す。
「笑うな。俺だって好きでやったんじゃない」
「魔女かー。」
「お前得意分野か?」
力を貸してくれるか?
「あたし全部に中立だから。ごめんね、手はかせない」
「そうか。じゃあそれは頼んだ」
指すのは古い魔術書。
「ま、これくらいなら余裕でしょ」





「だるい……」
「朝から何言ってるんですか」
机の前の書類を無視していすにだらしなく腰かけているとワイヤに言われた。
「まだ仕事、たくさんあるんですから」
「そうは言っても。インビジブルのことでピリピリしてるんだよ」
その名を聞いてワイヤはさらに書類を積み上げる動きを止めた。
ワイヤもそれが理由だとは理解している。
「でもインビジブルは普通の人間ですよ」
「魔女とつるんだ」
「魔女なら魔術師のほうが上じゃないですか」
ワインも似たことを言っていた。
「でも俺は魔女が嫌いだ。」
そっぽを向いたクロエにワイヤも思うところがあった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ