Novel

□眠れない夜は…
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[眠れないのは…]メタ+カービィ




ーコンコン。


「?…はい」



ある晩。メタナイトは日課になっている就寝前の読書をしている時に自室のトビラを叩く音が聞こえ、こんな時間になんだ?と思いながら返事をして扉を開ける。



「……メタぁ」
「……カービィ。どうしたんだ、こんな時間に」



そこにいたのはまくらを抱えて泣きべそをかいているカービィだった。
カービィはメタナイトが見えた途端抱きついた。メタナイトは抱きつかれたまま、このままここにいたら冷えると思い、カービィを抱き上げると自室のイスに座らせ、離れようとするが、ギュッと強く掴んでいるため離れられない。
そんな姿を見てメタナイトはカービィの背中をなでる。



「カービィ、離してくれるか?」
「…………」



メタナイトは出来るだけ優しく言うと、ゆっくりではあったが、放してくれた。
メタナイトはカービィから離れると、簡易的に設置されている冷蔵庫から牛乳を出し、レンジで温め、ハチミツを入れ混ぜて、カービィのもとへ戻る。



「ほら。カービィ、飲みなさい」
「うん、ありがとう。……おいしい。メタの作った味だぁ……」



カービィはそう言うと嬉しそうにホットミルクを飲む。それを頬を緩ませながら見つめていたが、何故カービィが自分の部屋へ来たのかが気になり、出来るだけ優しく聴く。



「カービィ、どうして私の部屋に来たんだ?」
「………メタ、怒らない?」
「あぁ、怒らない」
「……あのね、怖い夢を見たの」
「怖い夢?」
「うん。メタナイトが居なくなる夢」
「…………」
「夢の中でね、ぼく、がんばってメタを探したんだけど、見つからないの。それでね、起きたとき!とっても怖くなったの。本当にメタナイトが居なくなっちゃったのかと思って。……だから、来ちゃったの」
「カービィ……」
「だから、メタナイトがここにいてよかった」



…あぁ、星の戦士と云われていても、この子はまだまだ子どもなのだ。大人がまだ守ってやらなければならない子ども。

メタナイトは嬉しそうに笑うカービィを抱きしめる。



「大丈夫だ。大丈夫だカービィ。私はお前を置いて居なくなったりしない」
「ホントに?」
「あぁ、本当だ。この世界にいる時は必ず帰ってくると約束しよう」
「メタ…。うん!約束!!絶対に帰って来てね!」
「あぁ、約束だ」



カービィは嬉しそうにメタナイトのことを抱き返す。
メタナイトも包み込むように抱き直す。
その温もりに安心したのか、カービィはふわぁーっと、あくびをする。メタナイトはそんな姿を見てクスクスと笑う。



「んー、メタ、笑わないでよー。……ねぇ、今日は一緒に寝てもいい?」
「ふふふっ、もちろん」



そう言うとメタナイトはカービィから離れると、一人ベットに入り、一人分のスペースを開けて掛布団を捲る。椅子に座ったままのカービィは小首を傾げてメタナイトを見つめていると、メタナイトは再びクスクス笑って言う。


「ほら、何をグズグズしてるんだ?…おいで」


そう言われ、カービィは顔をパッと輝かせ、「うん!」と嬉しそうに返事を返し、かけ足でメタナイトの隣に滑り込む。



「えへへ〜、メタと一緒だぁ」
「ああ、そうだな」
「これからも一緒にいてくれる?」
「ああ、お前が望むのならな」
「えへへ、やった!」
「一緒というなら、大王様も居てくれるだろう」
「えー、デデデはいいよー」
「そういうな。大王様だって、お前のことを気にかけているんだぞ?」
「でも、…デデデはぁ…ぼくのこと、いじめて……………」

「……寝てしまったか」



カービィはいつの間にか寝息をたてていた。
メタナイトはカービィに布団をかけ直し、頭を撫でていると、カービィの口が動く。


「……メタぁ、……大好きぃ…」


それを聞いてメタナイトは一瞬目を丸くしたが、直ぐにクスクス笑う。


「ふふふ。私も大好きだ。……おやすみ、カービィ」


メタナイトはカービィの額にキスをして眠りについた。




ーーーーーその日のカービィは、今までで一番幸せな夢を見れたのだという。ーーーーーー



END.

書き上げ(H24/10/31・水)
up(2013/12/03・火)
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