雪樹月下

□第壱夜
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真雪様から電話をもらって早3週間。
あれから早々に屋敷を執事に任せ日本を訪れた(本来なら帰ってきたなのだろうけど生憎一度も来たことがない)俺は空港で待ちかまえていた真雪様と真雪様のお母様…美枝子様に熱い抱擁で迎えられた。

美枝子様に会うのは4度目だったけど、とても暖かく迎えて下さり、ほんの少し緊張も和らいだようだった。

3人で空港を出た後は何だったか……そう、新宿とか原宿とか若者の街?とかいう繁華街に連れてかれて両手に持ちきれないほど服を買ってもらった。
驚いたのは人の多さ。日本人って凄いなって思ったよ。あんなに人がいて気持ち悪くならないのか?

あぁ…話が飛んだ。そうだ。で、その後香椎の本邸に戻って総帥…春彦様にも抱きつかれ、一緒に出掛けたいとの我が儘を真雪様と美枝子様と3人がかりで宥めてその日は一緒に寝たんだ。うん、そこまでは何となくいい話っぽいな。

次の日から真雪様と春彦様は引き継ぎの件で忙しくなり、俺も一緒に会社で雑務を手伝ってたんだ。

幸い、フランスでも真雪様がいない時の仕事は任されていたから問題はなかった。何気に楽しかったし。

で、だ。漸く引き継ぎも一段落した昨日。日本に来た日以来どんなに忙しくても夕食は必ず4人で採っていた。
それは昨日も例外でなく、大変な期間を乗り切ったためか普段より大分明るい雰囲気のなかそれは告げられた。

「あぁ、久遠。貴方には明日から学校に行ってもらいますからね」
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