短編
□ウォーアイニー
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気が付けば、いつも一緒だった。
昨日も一昨日も、その前の日も、アイツに会った。
それよりもずっと前から、アイツとは啀み合って喧嘩して。
いつの間にかアイツの顔が頭から離れなくなった。
「またお前か、チャイナ」
「それはこっちのセリフネ!いつもいつも、お前はストーカーアルか!?」
また今日も、二人は街で会った。
会話の内容も殆ど変わらない。
「悪ィが俺は仕事中なんでィ お前に付き合ってる暇はねェ」
「あ…っ」
沖田はそう言って神楽の横を通り過ぎて行った。
神楽はその背中を暫く見つめていた。
会ったって、大して話す事はない。
ただ啀み合って終わり。
普通に話した事なんて、あったのか。
考えなければわからない。
─素直になろうと思っても、顔を合わせれば出るのは悪態ばかりアル。
結局素直になる事なんて出来ないネ。
ウォーアイニー。
伝えたい言葉はそれだけヨ。
これさえ、伝わればいいのに。
─本当は仕事なんてどうでもよかった。
もっとアイツと一緒にいたかった。
でも俺はそんな素直じゃないからねィ。
愛してるぜィ。
伝えたい言葉は、胸の内にしまって。
今はまだ、このままでもいいんでィ。
Fin.