拍手倉庫

□贈り物系
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[Valentine’s Day](侍と骨)


「はい、コレどうぞ」


可愛らしい紙でラッピングされた少し厚みのある小包を、白い骨の手の上に乗せて差し出された。
一体何だろうと思い小包を見てから、主人の顔を見てもただふわふわとした雰囲気しか分からない。

「開けても宜しいですか?」

「勿論です」

破かない様にリボンを解いて、包み紙を剥がしていく。
箱を開けたら、とても美味しそうな菓子が詰まっていた。

「ご主人、これは何ですか?」

「お菓子ですよ」

「存じています しかし私の言っている真意は分かるでしょう?」

侍はヨホホと笑っているご主人が少し憎たらしくて、むっとしている。
そんな侍を見かねたのか主人は理由を話す気になった。

「今日はヴァレンタインですよ」

「女性が贈り物をするという習慣ですね」

「私の場合は感謝の意を込めて貴方に贈ります」

感謝される事などしただろうか、と手に重みを感じながら自問自答した。
しかし痛めつけた事はあっても、影に戻っても何もしていない。
否、何もしてあげれていない気がする。

「身に覚えがありませんが?」

「何を言っているんですか いつも私の傍にいてくれているじゃないですか」

有難う御座います。と再度感謝され、再度贈り物を見てみると自分には有り余る物だと思えてならない。
どうして感謝してくれるのだろう。
それが侍の役目、定め、楔なのだから。

「さぁ、お茶にしましょう」



私だけの影


END
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