FanFiction Novel
□月の引力
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軽快な音楽が流れ、間抜けな笑みを浮かべた人の群れが会場の真ん中を陣取り、くるくるとステップを踏む。
あまりの馬鹿馬鹿しい騒ぎに、その様子をスコールは壁際からぼんやりと眺めていた。
パーティーの主役のひとりのはずのスコールは、SeeDの制服に身は包んでいたものの、SeeD就任披露という舞台の中心に立つ気はさらさらなかった。
こういう場所では、こうして端の方で早く時間が経つのを待つしかなかった。
さっき手に渡されたシャンパンを一口含む。
フルーツの爽やかな香りが鼻孔を抜け、口に炭酸の弾ける感覚が残る。
長細いシャンパングラスをくるりと揺らし、グラスの底から上がってくる小さな泡を見つめた。