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□全ては可愛い子のために
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処置が終わると丁寧に包帯を巻いてやる
ついでに曝されているであろう二つの膨らみを隠すように

「他は?」
「・・・何がヨ」
「これだけのはずねぇだろ。他どこ怪我した?」

バレたかとでもいう様な顔をして小さな声で「お腹と足」と囁く

少し乱暴に此方に振り向かせるとヘソの下に既に治りかけている傷を発見した

「コレは平気そうだな。足だせ 足」

神楽が何か言いたげだったが一瞥して黙らせ ズボンを捲らせる

自分に見られて恥ずかしいのか顔を真っ赤にさせて躊躇するその姿を見て あぁ女の子なんだなんて関係の無い事を思う

「あー・・・ひでぇな」

太股にザックリと残る刀傷

触れると少女は痛みで旋律が走るのか目を堅くつぶって布団を握り締めている

新しいタオルで拭いてやると やはり血は止まっていた

「痛い?」
「だ 大丈夫ネ・・・」

スッと撫でるように手を滑らせると神楽の身体がさっきとはまた違う震えをして銀時はドクリと心臓が跳ねた

(おいおい。ヤベーって)

冷静に考えるとこの状況は危険だ

電機を点け忘れたため薄暗い中で行われる手当て

ほとんど裸みたいな格好で

痛みで身体を震わせる少女




「銀ちゃん」

思考が危ない方向へいっていた銀時の耳に突然聞こえる高い音

いつの間にか神楽の視線は手当てをする銀時の手に集中していた
 
「ん?」
「何でそんなに上手ネ?」
「何が。」
「包帯巻くの」
「あぁ・・・」

自身の足をキレイに覆っていく白い布を見て少女は感嘆の息をはく

「銀さん物凄い器用だから」
「マジでか。」

カッケーアルと無邪気に言う神楽に先ほどの邪な考えをしていた事に罪悪感が生まれる


「終了ぉ。もう無いか?」
「大丈夫ネ。ありがと」

散らばる服を拾い上げ、汚れた着流しも脱ぎ洗面所へ投げる

押入れに運ぶため「ほら」と神楽を肩に抱えて歩き出す

強がっていても辛いのだろう,グッタリと身体を預けてきた




「ねぇ・・・銀ちゃん。夜兎って損だナ」

突然の言葉に銀時は足を止めた

「昔から私の回りには夜兎ってだけで狙うか嫌う奴ばっかりネ。」

表情は見えないがポツリと呟く少女に溜息をつきまた歩きだす

彼女は今までどんな目にあって
きたのだろう


「そんな奴等ほっとけ。」

いつの間にか到着した押入れの縁に神楽を座らせるとクシャと頭を撫でる

「新八も下のババアもお前が夜兎って知ってるけど嫌ってないだろ」
「・・・・・・」
「ヅラも真撰組の奴等もお前を利用しようなんて思ってねーはずだ」
「・・・うん」
「それでいーじゃねーか」

神楽は神楽だ。と額をくっ付けて囁く
それを聞いて少女は心底嬉しそうに微笑んだ


「・・・さて。俺ソファーで寝るから、お前もサッサと寝ろよ」

気だるそうに腕を回し踵を返すと不意に裾が引っ張られた

「銀ちゃん、今日は一緒に寝て良いカ??」
「は?」
「ね。いいダロ?」
「・・・」

滅多に甘える事のない神楽のお願いを断れるはずもなく
銀時は仕方なく「おいで」と腕を伸ばした

(銀さん大丈夫かなぁ・・・)

そして本日何度目か判らない溜め息をついて

長い夜を想像して気が重くなった



 全ては可愛い子のために





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