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□全ては可愛い子のために
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※ちょっとした流血表現があります。苦手な方は注意!!シリアスではありません。
↓
コチコチと静かな部屋に響く時計の音
短針が指すのは10の数字
「何処ほっつき歩いてんだ。アイツ・・・」
門限はとっくに過ぎているというのに未だに帰ってきてない同居人に銀時はいい加減イライラしていた
探しに行ってもいいのだが家を空けて入れ違いにでもなったら面倒だ
こんな時に限って風邪を引いてしまって居ない新八の間の悪さを呪う
「コレ、帰ってきたら叱っていいよね?当然だよね。コレ」
頬をつきながら机を指で叩いて怒りを誤魔化す。
すると玄関の方から階段を上る音が聞こえて、銀時はすぐさま立ち上がり ドカドカと勢いよく歩いていく。
そして戸の向こうに透ける赤色を確認して舌打ちをした
先ずはおもいきり怒鳴ってやろう
そう思い力一杯 戸を開け叫ぼうとする
が
怒鳴り声になるはずのそれは少女の姿を見た瞬間に息と一緒に喉の奥に吸い込まれてしまった
「かっ・・・」
目の前に映ったのは
白い肌を伝う赤い赤い 血
その状態に思わず目を疑った
「ごめん。遅くなったヨ。」
「はっ?お前・・・」
手に付くのも構わず少女の顔に流れる血を指で拭ってやる
予想外の出来事に戸惑う自分が情けない
「どうした・・・?こんな」
「私、夜兎ヨ。狙う奴はたくさん居るネ」
ケロッとして言う神楽に少し安心したのも束の間
靴を脱がせると抱えて和室に向かう
まずは傷を何とかせねば
途中ポタポタ落ちる血が床を汚す
敷きっぱなしの布団に静かに下ろすと少女は嫌そうに顔をしかめた
「銀ちゃん。布団に血ぃ付いちゃうカラ」
「・・・今更」
立ち上がろうとする神楽を押さえて自分も正面に座る
「脱がすぞ」
「・・・!」
血でベタつく服の留め具を外そうと手を伸ばす。
しかしそれを少女が制したので「嫌ならあっち向け」と少女の身体を反転させた
「・・・っ」
着てる物を剥がすと小さな背中に痛々しい傷が露になる
それを見てよく此処まで歩いてきたものだと半ば感心した
同時にこんな風にした相手に黒い感情が芽生える
「どんな奴だった?」
持ってきたタオルで拭き、消毒をしてやる
撃たれたのであろう丸い痕はすでに塞がりつつあった
「ヤクザっぽいの。あいつら皆同じ髪型しやがって・・・ムカつくからボコボコにして坊主にしてやったネ・・・あつっ!!」
痛みで細い身体を震わせ耐える中、相手の仕返しを誇らしげに語る神楽を流石だと思った
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