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□たまには
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   たまには

「げっ ヅラァ。」

「ヅラじゃない、桂だ。」

いつもの様に目についた屋台に入るとそこには、あまり会いたくない奴がいた

しかしわざわざ店を変えるのも忍びないので しかたなく席に着く

「めずらしいな、お前が飲んでるなんて。いつもの白いのはどしたァ?」

「たまにはな。エリザベスは留守番だ。」

そーかい。と相槌を打つと店のオヤジに酒を頼む

「お前こそリーダーはどうした?」

「あ?飲みに行くのに連れてくるかよ。今頃寝てんだろ」

今度は桂がそーか。と答えると手に持っていた杯を口に運ぶ

「・・・銀時、あまりリーダーを一人にするなよ。強いと言ってもおなごなのだから・・・」

突然語りだす旧友に銀時は思わず眉を歪ませる

いつも突拍子もない事を言う男のくせに たまに的を得てる事を言うのだ


それが腹立つのだけれど


「女子ったって あんな怪力娘だぞ?どうって事ねーよ」

「ほう。貴様はそんな怪力娘を好いているのか。」

ガチャンと持っていた酒瓶が落ちる
危うく中身がこぼれそうだったが何とか受け止める事ができた

動揺してしまった事に軽く舌打ちをし、隣を睨む

「てめっ・・・」

「リーダー本人から聞いた。この間やっとお前に想いが通じたと。」

いつの間にそんな入り込んだ話までする仲になったのか気になるところだが
バレている以上隠す必要はないと思い、桂から視線をそらして溜め息をついた


「ロリコンとか言ったらぶっ飛ばすからな」

付き合っている事を認めたも同然の言葉を聞いて、桂は思わず頬を緩ませた

「それなら、なおさら家に居てやらねば。リーダーもその方が嬉しかろう」

おでんに箸を通しながら淡々と告げる桂を横目に、銀時は酒を一気に飲み干す

この手の話題を知人とするのはどうも苦手だ

早々に立ち去ろうと勘定をカウンターの上に置く

「・・・銀時、時には言葉で伝える事も大切だぞ。」

「あ?」

意味深な事を言う桂に銀時は思わず動きが止まる

「行動ばかりでは相手を不安にさせて当然だ。さっき言っただろう、“やっと想いが通じた”と。リーダーがどのくらい長くお前を好いていたと思うんだ。」

「・・・・・・。」

一体アイツはどんだけこの男に話しているんだと思うと銀時は頭が痛くなった

だが、この男が言いたい事は何となく伝わり、銀時は片手を上げて店を後にした



「全く不器用な奴だ。」
桂はポツリと屋台で呟いた





あの後、どうにもほかの店に行く気にはなれず、帰った銀時は万事屋の戸を開ける
とすぐに高い声が自分を迎えてくれた

「あ。銀ちゃんおかえりアル〜」

事務所のソファーでテレビを見ていた神楽が振り向く

「何、お前 起きてたの?」

とっくに日付が変わっている時間に神楽が起きていた事に驚きながらも銀時は靴を脱いで部屋に入る

「うん。テレビ見てたのヨ」

「・・・・・。」

目が赤い
おそらく自分が帰ってくるのを待っていたのだろう

そんないじらしい彼女の頭を撫でると先ほど桂が言っていた事が脳をかすめた


(言葉で伝えるねェ・・・)


銀時は大人しく頭を撫でられている少女を見下ろした


神楽は他人に相談するほど、自分が何も言わない事に不安を感じていたのだろうか

これでも自分の中で彼女は特別で。
大切な存在だというのに


頭に手を置いたまま動かなくなった銀時を不思議に思い、神楽は上を向く

目が合うと銀時は苦笑いで話し出した

「神楽ァ」

「・・・何?」


「銀さんお前が思ってるよりお前の事好きだから」


いきなり告げられた言葉に一瞬で神楽の頬が朱に染まる
誤魔化す様に下を向いてヘヘと笑った

(あ、ヤベ)


今のは

可愛かったかも


「銀ちゃん・・・わっ」

本当に嬉しそうに微笑む神楽に たまらず上を向いた瞬間、口づける

あんな顔が見られるなら、たまに素直に言ってみるのもいいかもな

今回はそれを教えてくれたヅラに感謝しとくとしよう

そう思い、さらに口を強く押し付けた



たまには



「そういや、お前いつからヅラと仲良くなったんだよ?」

「ヅラ?・・・あぁ、たまに銀ちゃんがパチンコとかで居ないとき来るアルヨ。一人で。」


・・・さっきの無し やっぱアイツは腹立つわ












この話は難産でした;;
こんなのでも三日かかりました。(かかりすぎだろ)
はじめて桂を絡ませて見ました!!
以外と楽しい。
今度は真撰組も絡ませてみたいです!!!
読んでくれてありがとうございました〜。







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