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□旅立つ君へ言いたい言葉
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ねぇ、神楽ちゃん・・・
突然すぎるよ
僕一人じゃこのマダオ、どうにもできないんだからさ

それに

本当にそれでいいの?



 旅立つ君に言いたい言葉




「えっ!?神楽ちゃん嘘でしょ!?」
万事屋で三人 いつもの様に仕事もなく、ダラダラしていた(まぁ僕は洗濯物を干していたけれど)昼下がり
突然 彼女の口から出た言葉が

「ホントネ。明日ココを出て行くヨ。」
「な何で そんな突然っ!?・・・いつ決めたの!?」

僕はこれ以上無いくらい取り乱していた
だって明日って・・・後1日しか神楽ちゃんと一緒に過ごせないんだよ?
僕は理由を問いただしながら銀さんを見やる
平静を装っているが手に持ったジャンプはずっと同じページでめくられる事はない

「・・・この間パピーから手紙来たネ。今度行く星に一緒に着いてきて欲しいって・・・。よく考えたヨ。変えるつもりは無いネ。」

「神楽ちゃん・・・」
少女の意思の強さを表す様な まっすぐな瞳を見たら
何も言う事ができなかった
情けない僕は目頭が熱くなってきて、干す途中だった洗濯物を強く握り締めた

「・・・神楽ぁ」
それまで黙っていた銀さんが やっぱりジャンプからは目を離さずに「行ってこい」と一言だけ呟いた
それだけではあんまりだと思った僕は神楽ちゃんの方に顔を向けると
切なそうな、嬉しそうな、淋しそうな顔をして
「うん」とだけ答えていた


あぁ、二人はバカだ
二人とも絶対に気持ちは一緒なのに
気付いてないのは本人達だけ


二人ともバカみたいに想いあって
バカみたいに大切にし合って



バカみたいにお互いの幸せを願ってる



二人がくっつけば全て解決するのに
見てるこっちは じれったいよ

でも本当は分かってるんだ 銀さんが神楽ちゃんを止めないのも
神楽ちゃんが万事屋をでていくのも
相手のためなんだって事・・・
何て不器用な人達なんだ

僕はとうとう涙があふれてきて二人に背を向け洗濯物を再開する

「神楽ちゃん、今晩なに食べたい?」
僕ができる唯一の事






新八が作ってくれた たくさんのおかずと たくさんの白飯を私は全部平らげた

食器を片付けて(ほとんど新八が)三人一緒にコタツに入ってテレビを見た
いつもと同じネと思っていたら新八が帰る仕度をし始めたので驚いて声をかける

「姉上にも伝えておかなきゃ。それに・・・」
私は新八を玄関まで送ろうとついて行く

「神楽ちゃんには 後悔しない様に旅立ってほしいんだ」

新八の言いたい事が分かって私は思わず涙ぐむ 「ありがとう」と伝えると新八はまた明日、と言って帰って行った
新八も少し泣いている様だった

新八はマミーみたいに優しいネ あのマダオとは大違い

心の中でもう一度お礼を言うと静かに戸を閉めた







神楽が風呂に入っている間 俺はテレビを見てボーッと考えていた



神楽が明日,旅立つ事を


本当は行ってほしくないんだ
宇宙なんて遠いじゃねぇか
空を見上げてもお前は見えない
だけどお前が選ぶ道を 銀さんは邪魔したくねぇんだ


表の俺は何て大人で優しいのか


でも裏の俺はお前に呪いをかけて、

何があっても万事屋に帰ってくる様に 俺の元に来る様に
いっその事縛り付けて ドコにも行けない様にしたがっている

何て子供で酷い男


「銀ちゃん、お風呂の水ぬいといたヨ」

そんな事を考えているうちに神楽が風呂から出てきていて俺は「おう」と二つ返事

「・・・銀ちゃん」
名前を呼ばれて顔を向けると神楽はいつになく真剣な面持ちで

「今までお世話になったネ」
とペコリと頭を下げる

・・・止めてくれ そんなのお前らしくねぇよ

俺は立ち上がって その細い体を抱きしめる
神楽と呟くとあっちも体を強く寄せてきた

行かないで 俺の所にいて

そう言おうとして口から出たのは
「頑張れよ」の言葉
あぁ 本当に大人だわ銀さん

それから同じ布団で抱きしめ合いながら眠りについた





出発は昼だというのに 皆朝早くから神楽に会いに万事屋に訪れてきた

新八にお妙に下のババア、キャサリン なぜか真撰組の奴らまで(これは妙の家に隠れていたストーカーが広めたせいだと思われる)あいさつに来た

神楽は嬉しそうに一人一人にちゃんとサヨナラを言っていた(まぁ、ネコ耳とサドには暴言を吐いていたけれど)

そして、ターミナルに行く時間がせまった時
万事屋メンバー以外はココで見送りと妙が言い出した

神楽は淋しがっていたが これは俺達に皆が気を使ってくれたのかもしれない

ターミナルには定春と新八と俺と神楽だけ
神楽は定春に「いい子にしてなきゃダメヨ」と頭を撫でて言い聞かせていた
定春もコレが別れと察しているのか静かに耳を傾けていた

神楽が乗る便の名前が呼ばれる
「じゃあね、銀ちゃん 新八」
「あぁ」
「気をつけてね神楽ちゃん」

俺は黙って見届けようと思っていたが とうとう耐えれなくなって神楽が歩き出した途端 手を引っ張って 人の目も気にせず神楽の頭に唇を押し付けた

「ぎ 銀ちゃん」

何故か俺たちを見て新八はボロボロに泣いていた
泣き虫め

唇を離すと神楽も泣いている様に見えた

「最強のエイリアンハンターになってくるネ!!」
そう言って神楽は後ろを振り返る事なく入口に乗り込んでいった




「行っちゃいましたね・・・」
ズと鼻をすすって新八が口を開く

「そーだなー」と空返事だけして 帰るぞと新八を促しターミナルを後にした



神楽ぁ 今度もし会えたら銀さんがお前に言えなかった事 言ってやるよ





旅立つ君に言いたい事は



ずっとずっと 愛してる








今回は神楽ちゃんの旅立ちを書いてみました。新年ですし(?)
いかがだったでしょうか?トミーの中では銀さんも神楽ちゃんも両想いなのにソレに気付いてないと思うんですよね〜
片想い萌えv
神楽ちゃんが江戸を離れる作品はほかのサイト様でもよく見かけますが
,難しいですねorn でも新八視点が一番書きやすかったです。




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