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□恋焦がれて
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神楽に対する自分の気持ちは家族愛だけではないと気付いたとき。恋に浮かれるような高揚とした気持ちは全く無く、心を占めたのはただただこの感情をどうしたら隠せるかという焦りだけだった。

彼女には夢があり、それを叶えるためにはいつかここを出て行かねばならない。 
その彼女にとって自分の気持ちはただ邪魔になってしまうだけだったろう。
神楽への恋心に気付いたところで、思いを伝えることが出来なければそれはもはや「いらないもの」だ。


そう頭では判っていても、捨てるという事はどうしても出来なかった。
自分に芽生えた実に甘苦しい感情は脳にまで達し、彼女の笑顔を見ただけでも嬉しくなり、今まで感じたことがないくらい心地よいものだったから。

彼女への気持ちを捨てることが出来ないのなら、表には決して出さないように「隠す」だけが唯一の選択肢。
ふと彼女の身体を掻き抱きたい衝動に襲われても、神楽の将来を思えば我慢できた。


そうだ。隠すのだ。全てを。


そうすれば今まさに旅立とうとしている神楽を笑顔で送り出してやれる。『五月蝿いのが居なくなってせいせいするわ』などと憎まれ口をたたくこともできる。
船に乗り込む彼女に手を振ってやれる。 
今にも泣きそうな彼女の笑顔を見て見ぬ振りができる。





そのどれも満足にできていた自信が無いけれど。









「……あ……っ」

月が出ていないためか、万時屋の室内は青黒い色で満たされていた。何も見えない部屋の中で神楽の真っ白な肌だけが浮き出ているようだ。

銀時は目の前の華奢な首筋に歯を立て、やわやわと味わっていく。
「―――ッ!」
歯が柔肌に食い込む感触もそうだが、神楽の反応が可愛くて夢中になって噛みついていく。最初は首。その次は耳と順に舌で辿っていく。
噛んだ後に窪みにそって丹念になぞっていけば彼女はビクッと身体を揺らした。

「銀ちゃっ!…くすぐったっ…いヨっ」
「……我慢しろ……今銀さんすごく楽しいんだから」
「変態ネ―…ッ!」

神楽の上半身の前はすっかり寛げられており、白い膨らみの先で色づいた尖りが誘うように立ち上がっている。
そこを指先でなぞると面白いほどに彼女の身体は揺れた。

「あッ……そこは……んッ!」

しつこく指の腹で捏ねるように動かしていくと先ほどよりも硬くなっていくのが伝わる。人差し指と親指でそれを挟むと少し強く捻った。

「……ッ!……イタッ!!」

「ごめんね。痛かった?」

労わるように掌でさするように撫で上げる。だがそれも皮膚に先端が引っかかって甘い刺激を伝えるだけだった。

「あッあッ……ン!!」

「どうした?神楽」

「あぁッ……銀ちゃん……わざとアルネ……」

恨めしそうに睨んでくる彼女に詫びるように唇口に軽くキスを落とす。

そのまま啄むようなキスを繰り返すとだんだんと口づけを深くしていく。


(あぁ……溺れそうだ)


唇口を吸ったまま手を身体に沿わせながら下に降ろしていく。
銀時の意図を察した神楽は恥じらう様に太腿を擦り合わせる。その動きが銀時自身を刺激し、さらに興奮が高まってくる。


(あの時は……)


(こんな風に神楽を抱けるなんて思ってもみなかったな……)


3年前に神楽がここを出て行った時、自分はもう会えない覚悟をしていた。
広い宇宙に出てしまえば、自由奔放な彼女ならすぐに狭い地球なんて忘れてしまうと思ったからだ。


右手を彼女の下腹部に滑らせれば、僅かに水音がした。その音で真っ赤に染まった神楽の小さい頬を包む。


(帰ってきてくれた時は……)


(どうしようかと思った)


「銀ちゃん……」


彼女が変わらない笑顔で万事屋に帰ってきた時は、もう感情を抑える事など出来なかった。
半ば強引に気持ちを押し付けた形だったが神楽は予想に反してすんなり俺を受け入れてくれた。



(またこうして隣にいるなんて)


「銀ちゃん……?どうしたネ……?」

心配そうな表情で下から大きな瞳が覗いてくる。
やばい。今自分はどんな顔をしているだろう。

「……目に汗が入っただけだ」


誤魔化すと目の前の愛しい存在に更なる快楽を贈ろうと力一杯抱きしめた。




――恋焦がれて――




もう離れられない























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久しぶりの更新、そして新年早々のSSが コ・レ・ダ・ト!?

何か過去形と現在進行形がめちゃめちゃですね。
ちなみに冒頭部分が過去で、神楽ちゃんとイチャイチャから現在です。判りにくい!!


銀さんは神楽ちゃんの気持ちに気付いても大人だからと言い訳して隠す様な気がします。
ここまで読んでくれてありがとうございます。











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