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□I bore it enough
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その目を見た瞬間

あぁ、もうダメだと思った


I bore it enough


自分が一人の女として認めた奴と一つ屋根の下で暮らすというのは、結構しんどい

例えば無防備に事務所で腹出して寝てたりとか
深いスリットが入ったチャイナ服で平気で目の前を通ったりとか

もう、ホント勘弁してくれってなる

今だって短いスカートで何処かへ出掛けようとしてるのを見つけて、考えるより声が出た

「神楽ァ こんな時間に何処行くんだ?」

「銀ちゃん」

振り向いて俺だと判ると愛用の傘を抱えて

「マヨラーの所のサドに決闘を申し込まれたアル!!あのガキ、今日こそ息の根とめてやるネ」
と顔をしかめて話す

いやいやいや 顔をしかめたいのは銀さんだから

「ダメ。また今度にしなさい」

そう伝えると神楽は「え〜」と非難の声を上げる

「何でヨ?」

「何でって、お前・・・」

ため息をつきながら玄関の鍵を閉める
「もう遅いから」と諭したが本当の理由はそうではない

スカートのままとび蹴りなんてやられたら たまったもんじゃない 俺が

そのまま神楽を促し事務所へ戻る
まだ納得できないのかブツブツ言っていたが。

何とか神楽が外に出るのを阻止した銀時はソファーに座り息をつく
と、てっきり押入れに戻ると思っていた神楽も隣に座ってきた

「?」

「・・・銀ちゃん、何でいつも止めるアルか・・・」

下から覗き込むようにして睨む神楽

ちょ、頼むからそれ以上顔寄せないで

「私・・・」

思いつめた様に語る少女を眺めていたら銀時は悪い予感がした

それは次に神楽が発する言葉を察したのと
その言葉で自分がどれだけ心乱されるか判っているから

「かぐっ・・・」

「・・・私、もう子供じゃないネ」


静かな部屋に神楽の声が響いた気がした
それと同時に自分の中の何かが一つ一つ崩れていく

「銀ちゃんは・・・私のパピーじゃないでしょ?」

顔を上げた神楽の目が潤んでるようで


その目を見た瞬間

あぁ、もうダメだと思った


「・・・そうだよ。俺はお前の親父じゃない」

そう言ってやると神楽は嬉しそうな、悲しそうな、複雑な表情をする

「だったら・・・」

「でもな」

彼女の言葉を遮ってソファーの上で顔だけ向かい合う

「俺はこれからも、お前が他の男の所へ行くのをとめるよ」

それを聞いて神楽は目を大きくして信じられないといった様な顔をする

そんな驚かせるような事いった?銀さん

「何で・・・」

「あ――・・・」

身体ごと向きを変えると神楽の両肩を身動きが取れぬ様に掴む
一瞬震えたのが判ったが構わず唇を押し付ける

ホホに

「・・・・・」

「こういう事」

それだけでも顔を赤くして、神楽はこっちを睨む

「いきなり過ぎネ。このダメ天パ」

それでも、掴まれた肩を振り払わない所をみると どうやら神楽は少し怒ってはいても嫌がってはいない様だ

―何か今まで悩んでた俺ってアホみたいじゃね?―

そのまま神楽をソファーに押し倒し、上に乗っかると慌てて下から押し返してくる

「ちょっ・・・何するネ!?」

「あ?だってさっき言ったじゃん。“もう子供じゃない”って」

しまったと言うような顔をして神楽はますます赤くなる
そんな少女の頭を撫でてやると腹を括ったのか神楽はまたソファーに身体を預けた

それを見て思わず笑みがこぼれる

たしかにいきなりは可哀想だと思うが・・・


「神楽」


名前をそっと呟くと今度こそ口に自分のソレを落とす


自分が今まで耐えてきた事を思うとマシなもんだ




end




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