雨+雪=ミゾレ -雨混じり-

□□
1ページ/1ページ



炬燵とはなんて便利な物なのだろうか、と考えたのは果たしてどちらか。あるいは両方か。
だって向かいに座ってしまえば届かない距離。寝転んでしまえば見えない位置。仲の悪い関係にはぴったりの物。
けれどこうして二人で同じ炬燵に入っていること自体が、仲の良い証拠だとは、二人は思いたくない。外が寒すぎるから、丁度暖炉の薪が切れてしまったから、薪を取りに行こうにも雪がちらつきはじめてしまったから。そんな言い訳を心内で何度も繰り返し繰り返し、これは不慮の事故だと言い聞かせる。

「………」

あれこれと考えている内に、一欠を眠気が襲う。巡る思考に加え、炬燵の暖かさ。
眠ってしまっても特に支障は無いと判断して、一欠は瞼を下ろした。やがて陥るのは、寝息も立てない静かな睡眠。

「………」

はぁ。小さく溜め息を吐いたのは向かいに座るセンカ。彼もまた睡魔に襲われて居たが、眠りに落ちる前に彼にはすることがある。

「…風邪なんてひいたら、面倒なんだから」

寝室から持ってきた毛布を、机に突っ伏して眠ってしまった一欠の布団から出ている背中へ。但し丁寧にするのが癪で、頭からすっぽりと。

「……餓鬼」

吐き捨てて、センカはまた元の位置に潜る。身を横たえ、今度こそ眠りに落ちたのだった。


end.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ