普通の話

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『小話−オリ珠魅』


口の利けないローズは、視線で訴えることが多かった。
翡翠はそれを解する数少ない一人で、ローズの騎士である。
ローズは彼女自身も知らない程に彼に甘えていた。

「………」

彼女が欲していることを全て完璧に理解しているかと言えば自信はないが、それでも翡翠は彼女の傍にいた。会話は無かった。動作もなかった。
ローズは。ずっとずっと翡翠の隣が安心できた。何も言わなくても、言えなくても解ってくれる人が居る。ただそれが、凄く嬉しかった。



だから。

ありがとう。


これまでもこれからもずっと。




end.
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