普通の話
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『小話−センカ×瑠璃』※BL
嗚呼、鏡、なのだ。
そっと手を伸ばせばそこに固く無機質な硝子の戸。
本当の君はこの内側に居るのだろうか。
「……センカ」
そっと、名前を呼ぶ。
何れだけ叫んでも。何れだけ泣いても。
此方が望む温もりをくれるだけ。
本当に欲しいのは、そんなものじゃないのに。
「センカ!」
叩き続けた拳は赤くなり、ひりひりと痛みがする。
それでも、止めない。
この鏡が、割れるまで。
世界の破片をそのまま映した硝子が、割れるまで。
(だって、そうでしか在れないから)
不要のピースは、世界を映すことしか出来ないから。
end.