雨+雪=ミゾレ -雨混じり-

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※学園パラレル


「……ひか。起きてる?」

暗闇の中、そんな微かな声が呼んだ。衣擦れの音の後、何かが一欠の布団に侵入してきて、一欠は驚いて声を上げそうになる。
慌てて、何かがその口をふさいだ。

「しーっ。みんな起きちゃう」
「起きられて困るような状況を作るな」

ひそめられたセンカの声につられるように、一欠も別に後ろめたいわけでもないのに声を落とす。
何やらもぞもぞと動いていたセンカが、ひょっこり目の前に顔を表す。

「……何をしている」
「夜這い」
「阿呆か」

そのまま一欠の上に乗ってくるセンカを、身をよじって逃れる。
ただ、その唇からは逃げられなかった。

「っ……やめ、ろ…」
「絶好の、シチュエーションだと思わない?」
「…どこがだ」

周囲には他のクラスメイトが眠っているのだ。部屋の外からは先刻から、見回りの教師と思しき足音が聞こえる。
それに、もしかしたら眠れないでいる者がいるかもしれないのだ。

「興奮するでしょ」
「……俺にそんな趣味は無い」
「えー?」

クスクスと笑い、センカは一欠の胸元に手を這わせた。左胸に感じる、一欠の鼓動がよく分かる。

「こんなにドキドキいってるよ?」
「いってたとしてもそういう意味じゃない」

けれど、センカがそれで終わらせないというのは分かっていた。


end.

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