雨+雪=ミゾレ -雨混じり-
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「俺が君を庇ったりしたら、どうする?」
「しないから考えない」
「……だんだん俺のあしらい方、覚えて来たねー」
詰まらなさそうに言って、転がる。
そんな彼を見て、ふと思った。そういえば、いつも彼との会話は、彼の方からだ。
「なあ」
「え、何?」
何を言おうか迷って、結局何も言えない。
「……いや、何でもない」
「何だよそれ気になるじゃんー」
いつも彼から話し掛けてくる。手を伸ばしてくる。
「………」
「だから、何なのさ」
伸ばしてみた手は、結局触れなかった。
「……いや、別に」
「だから気になるってー」
怖い、と少し思った。
声を掛けるのも彼に触れるのも、何だか怖くて。
「………」
「一欠?」
届かなかったら、どうしよう。なんて、はじめて思った。
end.