雨+雪=ミゾレ -雨混じり-
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口付けの後に、唇を舐める癖。
「…それ、やめてよ」
「は?」
少し頬を紅く染め、言ったセンカに、相手は心底不思議そうな顔をした。
「何がだ」
「何がって…」
余りにも一欠の様子が変わらないので、そこでセンカは漸く理解した。
「…若しかして、無意識?」
「だから何がだ」
「だから、」
言いかけて考えた。
此処で指摘すれば、きっと一欠は狼狽するだろう。
赤面する?逆に怒る?拗ねる?
そんな彼も見てみたい気もする。
「…おい?」
にやけ出した口元に、眉をひそめる一欠に。
センカは、クスリと笑って。
「なんでもないよ」
やっぱり気付かないままの、その癖が好きだから。
「…変な奴だな」
「君に言われたくないけどね」
そうしてもいちどキスをする。
end.