麻雀物語


俺は善戦した。

多少のミスはあったが、前のように頭が真っ白になることはなく10000円のカードを徐々に溶かして終わったのだ。

やはり、点5に比べて面子は強かった。

しかし、まるで手応えがなかった訳ではない。

トップも取れたし、何より冷静に打てた。

俺は自分の腕が上がったことを確信した。

「こうなったらもう1軒行こう!」

繁華街を一本横に入り、暗い路地裏の2階にその雀荘はあった。

「麻雀アーク」

当時から、今なお打ちに行くこともある長い付き合いとなる場所であった。

三元閣と違い2階に2卓、3階に3卓しかないこじんまりとした雀荘。

レートは1-1-2

明らかにヤクザにしか見えない店長にルール説明を受けると、卓に入った。

半荘3〜4回であろうか。

10000円分のカードを溶かした俺が帰ろうとすると、「まぁ座りなよ」と言って店長に呼び止められた。

お茶を飲みながら他愛のない麻雀の講釈を受けた気がする。

赤には祝儀がつくから鳴いたらダメだとか、麻雀は面前が基本だとか…

アットホームな雰囲気でまた来たいと思える雀荘だった。

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