麻雀物語


麻雀を覚えて半年。

この頃から俺はアカギ、天、カイジといった福本作品に傾倒する事となる。

そして期を同じくしてフリー雀荘の存在を知る。

当時の俺の中での雀荘のイメージ…
「怖い、ヤクザがいる、イカサマでカモられる。」

今思えば笑えるが、当時は真剣にそう思っていた。

しかし、はやる好奇心を押さえられない。

俺は一人で雀荘へと向かった。

当時、地元にはピンの雀荘しかなく、1万5千円を握りしめて雀荘のドアを開いた。

見たことのない光景。

イベント表が壁に張り出され、全自動卓が何台も並んでいる。

簡単にルール説明をされた後、メンバー3入りで卓をたててもらった。

今思えば、本当にヤクザな雀荘だったのかもしれない。

前出し3000円×4=12000円が供託され、勝負が開始された。

緊張で手が震える、
頭が真っ白で考えられない、何より先ヅモもあり場の流れが早すぎる…

二枚目の白も鳴けない状態で、俺は戦っていた。


南場になりダンラスの俺が初めて立直をかけた。

宣言牌は喰われ、数順後に親満を振り込んだ。

…トビだ。

ハコ下とトビ賞を払った俺は既に持ち金が尽きていた。

恥ずかしい気持ちとレベルの違いに圧倒され、逃げるように店を出た。

「またお待ちしております」

背中で響く声に、負けん気が騒いだ。

「もっと強くなってやる」

帰り道にずっとその事を考えていた。

雀荘デビュー。

17歳の春の出来事。

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