ろぐ

□キミ攻略マニュアル
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・少し渋っても強気で命令するとちゃんと言うこと聞く
・笑うと許してくれる
・手首握られるのがすきらしい
・耳に触ると噛まれる
・髪が綺麗だと言うと照れる
・かわいいと言うと否定する。更に言い続けると舌打ちする。又は褒め返してくる



「……赤司くん、何書いてるんですか?」
「テツヤ攻略マニュアル」
「……なんですかこの『手首握られるのがすきらしい』って」
「握るといつもちょっと嬉しそうにしてるからね、すきなんだろう?」
「別にしてないです……」

 試しに握ってみる。
 テツヤは少しだけ目元を赤くしたけれど、故意に振り払われることはなかった。
 手首から伝わってくる鼓動が速い。ずいぶん速い。すごく細かい。

「テツヤ、心臓速くないか?」
「別に、普通です……」
「心臓病?」
「そうかもしれませんね」
「テツヤが死んじゃったら、僕は生きていけないな」
「うそ」

 くすり、と笑うと、お返しのように掴んでいない方の手で、手首を握られた。かあっと頬に熱が走る。

「赤司くん、心臓病ですか?」
「……かもね」
「相当末期?」
「……みたいだ」

 僕の速い鼓動に、テツヤが笑う。僕らしくない。でも、すきなんだから、仕方ない。
 もし僕が死んだら、テツヤはどう思う? 考えたくもない、と言われた。

「なんで?」
「君のことがキライだからです」

 その笑った顔、すきだなあ。
 柔らかくてきらきらしてて、幸せそうに僕の手に手を絡ませるテツヤが、すきだ。

 もう一つ、マニュアルに書き加えなくちゃいけない。テツヤ攻略を目指す上で、これは最大にして最高の、最終マニュアル。

「赤司くんきらいです」
「それ、喜んでいいの?」
「……はい、たぶん」


・テツヤの笑顔+「キライ」=スキ





 

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