黒バス
□君の待つ恋道
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もしも、ボクがあそこで練習していなかったら。君に見つけてもらうことはなかったんだろう。
もし青峰くんがあそこに来なかったら、ボクが青峰くんといなかったら、君に会うことはなかったんだ。
もしも、君がそんな性格じゃなかったなら。君にここまで惹かれることなんてなかったんだろう。完璧で強気で冷静でストイック、それでいて、どこかやさしくあたたかい。そうじゃない君をすきになるなんて、ないと思うから。
もしも、君が「すきだ」と言ってくれなかったら。
ボクは一生後悔し続けたんだろう。
君に思いを告げる勇気なんて、ボクには一生かかっても、手にできないと分かっていた。
もしも、君が抱き締めてくれていなかったら。ボク、泣いてたんだと思う。
どうして君がいないんだと、泣き叫んで、君という存在の大きさに、心を締め付けられていた。
もしも、今までひとつでも欠けているものがあったなら。
ボク達が恋に落ちることもなかったんだろう。
苦しいくらい、もう離れられない。
いつも道を示し、この非力な掌を引いてくれる人がいた。
たくさんたくさん擦れ違いながら、それでも必死にバスケを愛する人がいた。
ちっぽけで弱いボクを抱き締めてくれる人がいた。「すきだ」と囁いてくれる人がいた。
嘘みたいに完璧で、思わず目を細めてしまうほど凄い人。
いつか、名前を呼んであげよう。
びっくりするかな。
仕返しみたいに、「テツヤ」って、ボクの名前いっぱい呼んでくれるかな。
君は、どんな反応をするんだろう。
先が読めない君といると、楽しく思うボクがいます。未来にどこに行ってしまうか分からないような君だけど、ボクはそれでも構わないんだ。
君は絶対に嘘を吐かないから。
卒業しても、大人になっても、君がくれた言葉に変わりはない。
どんなに遠く離れても、ずっとずっと、信じていられる。
「すきだ」って、君が言ったから。
赤司征十郎がすきだから。
君の待つ恋道