黒バス
□あったか〜い
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R18
*“屍”の志葵さんとの連動作です
さらりと髪を撫でられて、ストローから口を離して振り向いた。
綺麗な顔が近付いてきて、息が触れる距離に思わず顔が熱くなる。照れくさくて視線を反らすと、その瞬間に唇が重なった。
「甘いな」
ちゅっと音を立てて、赤司くんの唇が離れた。ぺろりと唇を舐める赤い舌に胸が鳴る。
そのまま赤司くんにのしかかられそうになったけれど、そうはさせるか。
素早く身を引き、ベッドの上へ逃げる。バニラシェイクはしっかりと握っているボクを流石だと褒めてほしい。
窓から吹き込む秋風に身震いして、バニラシェイクをベッドサイドのテーブルに置く。ベッドの足元から手を伸ばせば届く位置にある窓を閉めに立ち上がると、ズボンの裾を引っ張られた。よろける体をなんとか持ち直し、手を伸ばして窓を閉める。
「なんでそんな嫌がらせするんですか、危うく転んでしまうところでした」
「黒子こそ、なんで急に逃げるんだ。あまりに華麗に逃げるものだから、嫌われたかと思って危うく泣いてしまうところだった」
「嘘付かないで下さい」
ベッドに腰を下ろしてため息を吐くと、「冷たいな、まったく」なんてぶつぶつ言いながら赤司くんがベッドに上がってくる。そしてぐに、とボクのほっぺを摘まんで、なにやら満足げに笑った。相変わらずなにを考えているのか分からない人だ。
「黒子のほっぺ、ちょっと冷たいな」
「あかひふんほへほふへはいへふ」
「そうか? じゃあ温かくなることでもしようか」
ボクのほっぺから手を離し、にんまりと微笑む。
「温かくなること?」
赤司くんの提案が読めなくて首を傾げる。赤司くんの手も冷たいです、との言葉は当たり前のように伝わったらしい。
「分かんない?」
「……おしるこでも飲むんですか」
「緑間じゃあるまいし」
「緑間くんじゃなくても飲みますよ。おしるこで緑間くんを思い出すのは事実ですが」
「そういえば昨日も言っていたな、『そろそろ温かいおしるこを自販機に並べるべきなのだよ』って」
「……妙に似てる物真似ですね。でも確かに、少し寒くなってくると温かい飲み物が恋しいです」
ああ、言っておくけれど、これは決してバニラシェイクに対する浮気ではない。
そりゃあ寒いと、自販機に並ぶあったか〜いおしるこは魅力的かもしれない。けれどバニラシェイクには及ばない。あったか〜いバニラシェイクなんてあれば、それはもう最高だと思う。
「……あったか〜いバニラシェイクって、あるんでしょうか」
思わず、心の呟きが声に出てしまった。その瞬間、何故か赤司くんの肩がぴくりと動いた気がする。
「あったか〜いバニラシェイク……か」
「ボク、どんなに寒くてもバニラシェイクは飲みます。マジバ、冬限定で作ってくれないでしょうか」
「……オレが作ってあげようか?」
「え?」
そう言うや否や、赤司くんに肩を押され、そのままベッドに押し倒された。
「……赤司くんが作ってくれるって、どういう事ですか」
「言っただろ、温かくなることでもしようか、って」
「ちょっと意味が分かりません」
「まさかあんな風に誘われるなんて、思わなかったな」
「だから赤司くんの言ってることの意味が……」
分かりません、と言おうとした口をキスで塞がれる。言葉を遮るだけの短いキスはすぐに離れて、赤司くんは笑った。
「あったか〜いバニラシェイクって、精液のことだろ?」
そして綺麗な笑顔でこの変態発言。
……まさか何気なく発したあったか〜いバニラシェイクがそう捉えられるとは思わなかったけれど、こうなることは、うちに来ると言った時点でなんとなく分かっていた。だからせめてカーペットがあるとはいえ、固い床で押し倒されないようにベッドへ移動したのだ。
相変わらずよく分からないポイントだけど、その気になった赤司くんに抵抗することは無駄でしかないし、後日何倍にもなって返ってくるお仕置きも恐ろしい。
だから再度降ってくる口付けを素直に受け入れる。……別にさっきのキスが短すぎて物足りなかったとか、そんなんじゃないから。
「んっ、ふぁ……んぐっ」
「……っ……は、」
「んん、んぅ……」
口内に赤司くんのを含み、必死になって奉仕する。意識をふと自分に向けると、恥ずかしくて堪らない。だけどこの、いつも涼しい顔をしている赤司くんの、快感に浸る表情を見るのがすきだ。ボクしか知らない赤司くんを独り占めしているような気がして。
口に入りきらないそれを両手で擦る。赤司くんが目を細めた。
「……どこでそんなやらしいこと、覚えてくるんだ」
「ん、んんっ」
ボクの口の中で、ビクビクと脈打つ赤司くんのモノの先端に舌を這わせ、思い切り吸い上げる。その瞬間、苦い、熱い精が、口内に放たれた。
「……っん、ぐ」
「……っ」
「んぅ……」
ずるりと口から引き抜かれて、真っ直ぐに見つめられた。飲み込め飲み込めと無言の圧力をかけてくる。
「んっ、く」
「はぁ……零しちゃ駄目だよ、ちゃんと飲まなきゃ」
口の端から溢れた精液を指で掬い、口に突っ込まれた。ピチャピチャとはしたない音をたて、口の中で蠢く指を舐める。
「良い子だね、黒子」
「赤司、く……」
「美味しい? あったか〜いバニラシェイク」
「……苦い、です」
「でも、嫌いじゃないだろ? ここ、反応してる」
「やっ……!」
突然握り込まれ、そのまま上下に扱かれる。胸元に赤司くんの顔が落ちてきて、胸の突起を舐め回されたかと思えば甘噛みしてみたり、ちゅっちゅと音を立てながら吸い付かれたり。自身と胸への同時の刺激と、両方からの水音が恥ずかしくて、気持ちよくて。
「っあか、あかしく、音、やだ……っあ、んっ」
「ん、音? 嫌じゃないだろ。こんなに垂れ流して」
「あぁっ! あかし、くっ、やっ! 出ちゃ……!」
段々激しくなる赤司くんの手の動きに、呼吸が浅く早くなる。
気を抜くときっとすぐにでも達してしまう。下唇を噛んで堪えていると、胸を這っていた舌が離れ、赤い頭がボクの脚の間に埋め込まれた。
抵抗する間もなく自身をくわえ込まれ、先程ボクが彼自身に行ったような、いや、それとは比べ物にならないであろう巧みな口淫に、あっという間に彼の口内に射精してしまった。
「ふぁ……、赤司、くん……、ごめん、なさい……」
「んっ、黒子のあったか〜いバニラシェイクはオレが飲んでやったからな」
口の回りに付いた精液をぺろりと舐める赤い舌に、胸の奥が疼く。身体中が熱くて堪らない。欲しい、赤司くんが欲しい。
「赤司くん……」
赤司くんの首に腕を回し、ぎゅうっと抱き付く。耳元で小さな笑声がして、触れる吐息にぞくぞくと肌が粟立った。