黒バス

□終わらない恋になれ
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初恋は叶わないもの、なんて決め付けたのは誰だろう。
ふざけんなよ、オレは認めないぞ。

「ねえ、黒子っちは誰が決めたと思う?」
「いや、分かりませんけど……」
「ほんと、ふざけないでもらいたいッスよね」
「はあ……」

黒子っちはあからさまに呆れた顔をした。別に良いさ。だって、オレだってめちゃくちゃなこと言ってるって、自覚してるし。こんなこと、黒子っちに言っても仕方がない。でも言わずにはいられないのは、黒子っちがオレの初恋だからだ。叶わないなんて言わせない。

初恋、なんて言葉を使うのは、やっぱり気恥ずかしい。普段は互いにバスケを生活の中心にしていて、バスケを軸に世界は回転している。
そんなオレたちだから、恋愛が生活の中心になることなんかまず考えられないし、相手にオレのことを考えろと強要するつもりは毛頭ない。

でも、オレは欲張りだし。
隣に黒子っちがいたらそりゃ嬉しいし。
誰かに黒子っちを盗られるなんてやだし、黒子っちがオレじゃない人と笑っているなんてやだし。
だから黒子っちが欲しいし。
一緒にいてほしいし。
キスもしたいし。
叶うなら、もっと先もしてみたい。
黒子っちがオレを思ってくれたら幸せだと思うし、オレは黒子っちの一番になりたいし。

「……すみません、黄瀬くん。さっきから君の頭の中ダダ漏れなんですが」
「ああ、わざとだから気にしないで」
「気にしないでじゃないですよ」

あはは、黒子っち顔あっけーの。
嬉しい。黒子っちがちゃんとオレの話に耳を傾けてくれていたこと。オレの言葉に、頬を赤らめてくれたこと。


(嬉しい)
たぶん、この思いは叶わないと思う。
黒子っちの目にオレがそういう対象として映っていないことも、元チームメイトとか友達とかライバル程度にしか感じられていないということも、黒子っちが思いを寄せている人がいるってことも分かっている。

それでも黒子っちは優しいから、オレを傷つけない離れ方を、きっとずっと、考えているんだ。

すきだよ、黒子っち。
優しい黒子っちがすきだよ。
だからオレも、先に進まなくちゃいけないって、思うから。
綺麗なままで、この気持ちには封をして、さ。
思い出して「ああ、そんなこともあったなあ」なんて微笑むことができる自分でありたいから。

黒子っちを諦める訳じゃない。
黒子っちがすきでいたいから。
ありがと、黒子っち。
すきだよ、黒子っち。



終わらない恋になれ
(いつかまた一緒に笑えるその日まで、今はまだ、友達で)







end

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