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□Dear my friend
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すでにロイドとミトスの一騎打ちになっていた。
仲間達は固唾を飲みその行方を見守る。
皆、ロイドが不利になればすぐにでも加勢を出来るようにしている中、ジーニアスだけ金縛りにあったように動けずにいた。
徐々にだが体力を削られたミトスが押され始め、顔を歪めてロイドの剣を無理矢理跳ね退けた。
以前なら全く適わなかった。自分達が強くなったのもあるが、ミトスの力が失われた事が一番の理由だ。
今こうして彼を追い詰める事が出来るのは、精霊達の助力によるものだから。
力の源であるエターナルソードを失ってなお、強い。
ミトスを支えているのは、その強い意思だ。

「誰にも、邪魔は…させない!!」

身長差を利用したミトスがロイドの剣の下を抜け、懐へ飛び込む。
気付いた瞬間には、ロイドは吹き飛ばされ仰向けに倒れ、間髪入れずミトスはその首元に剣を突き付けた。カランとロイドの手を離れた剣は床で跳ねた。

「「ロイド!!」」

「全員動かないで。ロイドが大切なんだろう?」


上がった息を整えたミトスはふわりと微笑み、その瞳はジーニアスを捉えていた。



「ねえ、覚えてる?ボクとロイドが喧嘩したら、ボクに味方してくれるって言った事。」

ミトスは柔らかな声で、ジーニアスへ呼び掛けた。
ロイドが呻いて上体を起こそうとしたが、ミトスはその首に刄を当て『動かないでって、言ったよね…?』と怒りを顕にした。優しい顔立ちはそのままに、瞳はぞっとする程に冷たい。


「ジーニアス、もう一度聞かせて。今ロイドとボクが喧嘩してる。

…ジーニアスはボクに味方してくれる?」

「っ…………。」


ジーニアスの無言を拒絶の意味と捉え、ミトスは諦めたような表情を浮かべた。『お前なんか信じてなかった』と言ったあの時と同じ。

「やっぱり……ジーニアスは、ロイドの味方なんだよね。」


静かな声なのに、まるで悲鳴のようだ。
ジーニアスは言わなければいけない言葉を探した。
何よりジーニアスも、ミトスに対して腹が立っていたのだから。

「……ミトスのわからず屋!!馬鹿でしょ!そんなの選べるわけ無いじゃないか!」

仲間も呆気にとられていたが、一番驚いたのは多分ミトスだ。堰を切ったようにジーニアスは叫んだ。

「マーテルさんは亡くなってるのに、こんな事望んでないのに…、どうしてわからないのさ!?」

「姉さまは生きているっ!!君に分かる訳無い!居場所の無いボク等の気持ちが!!」

ミトスの望む答えをあげられない事が悲しい。


「ミトスの気持ちはわからないよ!」

ミトスの抱える闇は想像を絶する程深い。
軽々しく理解出来るなんて言えるはずが無い。

「でもね、こんな事マーテルさんが望んでない事は分かる!!」

怒りに任せて放ったそれは、ミトスの逆鱗に触れるであろう言葉。
両手で緩やかに剣を持ち上げる。
ロイドは真っすぐにミトスを見据えたまま、何も言わない。
そのロイドの首を目がけ、剣を振り下ろした。

「だって、マーテルさんは……、君の幸せを望んでるんだから!!!」
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