海に恋した少年
□ハルタとイゾウ
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「あっ、ハールーちゃーん!」
「ハルちゃんって呼ぶなぁああ!!」
後ろからぎゅっと抱きしめると、ハルタさんは真っ赤になって怒った。
………なんてこった可愛いにやにやしてしまう。これじゃ立派な変質者だ。
「やぁだ、なんでいけなのよハルちゃんって可愛いじゃんか」
「女にちゃん付けで呼ばれたかねぇよ!!」
ぐいっと押し返されてしまった。その動作にすらきゅんとしてしまう。
「ごめん可愛い、好きです」
「て、てめぇええ!!」
正直、思いっきり抱きしめていい子いい子してしまいたくなるくらい可愛いです。ハルタさん。
「あ、あの、プリンとか食べる?好きだよね」
「プリンは好きだがあれだぞ、おまえのその明らかに餌付けしたがってる目が気に入らねェ」
「餌付けだなんて!可愛いひとに甘いものあげたくなるのは女の子の性ですから」
「威張んなぁあ!!」
プリンを頬張ってるハルタさん、やっばいそんなの超かわいい。あとでサッチさんに頼んでみよう。
「見てろよ、今におまえより背ぇ伸びて声も低くなってやるからな!すぐだぞすぐ!」
「あ、いいですハルちゃんはそのままでいて」
「ハルちゃんって!!」
「ハルちゃんに成長期はいりません」
「そこまで言うかっ!?」
いやぁ背が伸びてかっこよくなったハルちゃんもそりゃあ素敵でしょうけど。やっぱりハルちゃんはこう、………
「……ぎゅーってしていい?」
「良いわけあるかァ!!!」
大声で返されてしょんぼりしてると、近くで話を聞いてたらしいイゾウさんが思いきりふきだした。
「あっははは、おまえらほんと可愛いなぁ!!」
「イゾウ!もうこいつなんとかしてくれよっ」
「なんでだよ、もっと抱きしめてもらえばよかったのに」
イゾウさんが笑いながら言うと、ハルタさんはあからさまにショックを受けた顔をした。……裏切られた気分なんだろうか。
「…………ん?なに、ハルタはおれにぎゅーってしてほしかったのか?
そうならそうと早く言えよな。ほーら綺麗なお兄さんだよー」
「してほしいわけあるかァーーーっ!!!!」
両手を広げて言うイゾウさんから逃げるように半歩下がったハルタさん。
…………つられて私も両手を広げた。
「ほおーらハルちゃん、かわいい妹さんだよぉー」
「ほらほら綺麗なお兄さんだよー?男なのに綺麗でお得だよー」
「お兄さんにはないけど妹さんには胸があるよー!ほーら妹さんの胸に飛び込んでおいでー★」
「…………う、う、あ、
助けてくれオヤジィイイーッ!!!!」
「「逃がすかぁああーっ!!!!!」」
半泣きで逃げるハルタさんを、私とイゾウさんは本気で追いかけた。
───両手を広げたまま。
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