皆が願った幻想
□ウボァーな昼休み
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「はぁ……。」
………暑い。
今日はものすごく暑い。
昨日薄着してきて寒かったから今日はセーター着てきたのに、これじゃあべこべだ。
もうすぐ初夏だし、洋服も整理しないと。
……制服がシャツ一枚になるから、毎日アイロンかけなきゃいけないのか。
ちょっと面倒。
「…………ふぅ」
もう一度ため息をついてふと視線を前に戻すと、見慣れた小麦色の半裸がいた。
「…ジェクト先生」
…今日は半裸でも寒くないですねと言おうと思ったのに、先手を打たれてしまった。
「おうリア!
ちょうど良かった、頼みてぇことがあるんだよ」
「……はい?」
…なんだか嫌な予感がする。
生徒会って事もあって先生たちの手伝いはよくしてるけど、ジェクト先生の頼みごとは今までろくなものがなかった。
体育の授業で散らかったブリッツボール片付けるの手伝ってくれとか(ほとんど先生が散らかしたやつ)
書類書くの手伝ってくれとか(期日がその日のやつが大量にあったり)
……とにかくあんまり関わりたくない。
「昼休憩、飯食ったあとちょっと付き合ってくれねぇか?」
「…昼休憩か……」
……まぁ、放課後よりかはましか。でも問題は中身だ。
「…何するんですか?」
「体育教官室の荷物を職員室に運ばなきゃいけねーんだよ。
ちっと量が多くてなぁ」
………待って。
この筋肉半裸め、女の子に力仕事させる気か!
「…そういうのは私じゃなくて男子に頼んだ方がはかどると思いますよ」
私なりにきっぱり言ったつもりだったけれど、ケフカ先生いわく脳みそまで筋肉でしょ!なジェクト先生には伝わらなかったらしい。
「言われてみりゃそうだな。そんじゃうちのティーダも連れてきていいぜ!
じゃよろしくな!」
……ティーダはあんたの所有物かっ!
…なんて突っ込みを(心の中で)入れてるうちにジェクト先生はさっさと行ってしまった。
………うーん、悪い人じゃないんだけどなぁ。