皆が願った幻想
□お弁当ブラザーズ
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「……見ていたぞ。生徒会副会長が遅刻とはどういう了見だ?」
…ぎくり。
その言葉に、いや声に身をすくませてしまった。
…おそるおそる、後ろを振り向くと。
「ううっ…まぶしい…」
そこにはやっぱりウォーリアがいた。
スコール風に言うなら、まぶしいヤツ、登場だ。
「まぁまぁライト、リアだってわざと遅刻したんじゃないんだし…」
うわ。こっちもまぶしい。
今度は思わず目を細めてしまった。
光の戦士と聖騎士の称号を持つウォーリアとセシルが揃えば、この学園に灯りなんていらないんじゃないだろうか。
なんて事まで思ってしまう。
なんといってもこの光コンビの生徒会方針は、
輝きの未来を!
と、光の元に…指導を!
なのだ。ここまで来ると怖い。
「ご、ごめんなさい…………じゃなくてっ!私は遅刻なんかしてないってば!」
バッツといいこの2人といい、勘違いは止めてほしい。
……そもそもどこから見てたのよ。
「そうなの?ノアが心配していたんだ。
リアは俺のせいで遅刻したのかもって」
「……。」
セシルの発言に、リアはむっつりと黙りこむ。
…よーく、わかってるじゃないのよ。
そうよ、あなたが私のお弁当にハートマークのノリを貼りつけたりウィンナーを器用にハートにしたり、
色々ハートにしなかったらこんなことにはならなかったのよ。
そもそも、自分はちゃっかり学校に間に合っているところが気に入らない。
「…とにかく、だ。」
「え?」
心の中でつらつら文句を重ねていると、いきなりがしっと肩をつかまれた。
まっすぐに自分を見つめてくるウォーリアの表情はかなり険しい。
「…今すぐそのスカートの丈をなおせ。」
「……ウォル。」
あぁ、また始まった。
「……このスカートの長さは一応標準よ。だからそれは言いがかり!」
それでも、ウォーリアは引き下がらない。いつものことだった。
「それではなんだ、君の身長が伸びたとでも言うのか!ありえないだろう!」
「…ちょっと!」
ありえないは無いんじゃないか、ありえないは。
そう言ってやろうと思ったけれど、ウォーリアは口を挟む隙を与えてくれないまま、更に続けた。
「それからブラウスのボタンを外すんじゃない!リボンもきちんと上で結ぶ!
あぁもうとにかくそのギャルっとした服装をなんとかしろ!
それでは副会長としての示しがつかないだろう!」
ギャルっと、って。
なんだ、その表現。
一歩下がったところで見守るセシルはつい思ってしまった。
「ギャルっとした服装ですって!?
私のどこがギャルだって言うのよ、こんな清純派女子を捕まえておいてよくそんなことが言えるわね!」
自分で清純派って言っちゃうのか。なんてセシルに突っ込まれてることも知らずにリアは続ける。
「それにティナだって私と同じスカート丈よ!
私がギャルならティナだってギャルじゃない!」
「ティナはティナ君は君だ!今は君のことを言っている!」
彼からしてみれば、スカートから膝がのぞいたら゙短い゙、第一ボタンが開いていて髪を少しでもおしゃれしていたら゙ギャル゙なのだ。
彼がとんでもなく堅物だというのは解ってるけど、文句を言わずにはいられない。