海に恋した少年
□何度でも伝えたい言葉
1ページ/2ページ
たくさんのお花
青い空に白い雲
そして。
私たちはあの人に、どれほど礼を言っても言い足りない程感謝してる。
来てくれるのがもう少し早ければなんて、そんなのは思ったって仕方の無い事で
───それを言うならば自分たちでどうにも出来なかった事を、彼らに押し付ける事はあんまりだと、そう思う。
………解ってる。
───うん、ちゃんと笑ってるよ。意外となんとかやっていけてる。
わりと元気にしてる。ご飯だって残さず食べてる。
…………だから、大丈夫。心配なんかしないでいいから。
お花、きれいだね
好きなお花はなんだったかな たくさん色々なこと話したのに なんだか、頭がいっぱいで思い出せないよ
……本当は、いま思い出すだけですぐ泣いちゃうからそうしたくないだけどね。
私の泣いた顔なんか見たくないでしょ。そう思って我慢してるんだから。
今度は、私が好きなお花をたくさんたくさん持っていくね。
私が好きな花もみんなが好きな花も、抱えきれないほど持っていく。
何年経っても、いくつ歳を重ねても───私はちゃんとここへ戻ってくるから。
手のひらの温もりも優しい微笑みも、居場所も愛情も生きる理由も、今までもらったたくさんのものを絶対に忘れたりしない。
忘れることなんて、できないよ。
ねえ、今まで本当に本当に、
(愛してくれて、ありがとう)
2010.7.6 590話「弟よ」