海に恋した少年

□何度でも伝えたい言葉
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たくさんのお花
青い空に白い雲
そして。










私たちはあの人に、どれほど礼を言っても言い足りない程感謝してる。

来てくれるのがもう少し早ければなんて、そんなのは思ったって仕方の無い事で

───それを言うならば自分たちでどうにも出来なかった事を、彼らに押し付ける事はあんまりだと、そう思う。




………解ってる。








───うん、ちゃんと笑ってるよ。意外となんとかやっていけてる。

わりと元気にしてる。ご飯だって残さず食べてる。
…………だから、大丈夫。心配なんかしないでいいから。






お花、きれいだね
好きなお花はなんだったかな たくさん色々なこと話したのに なんだか、頭がいっぱいで思い出せないよ




……本当は、いま思い出すだけですぐ泣いちゃうからそうしたくないだけどね。
私の泣いた顔なんか見たくないでしょ。そう思って我慢してるんだから。




今度は、私が好きなお花をたくさんたくさん持っていくね。
私が好きな花もみんなが好きな花も、抱えきれないほど持っていく。
何年経っても、いくつ歳を重ねても───私はちゃんとここへ戻ってくるから。





手のひらの温もりも優しい微笑みも、居場所も愛情も生きる理由も、今までもらったたくさんのものを絶対に忘れたりしない。




忘れることなんて、できないよ。







ねえ、今まで本当に本当に、










(愛してくれて、ありがとう)

2010.7.6  590話「弟よ」
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