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□主従であり親友
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※血&斬殺表現有り!
最初からごめんなさい!
―黒はいい。
夜という闇に同化する。
夜はいい。
血を被っても目立たない。
血は、いやだ。
キレイじゃない。
ソレを流す人物がキレイだったら、別だけど―
頭から被ったのは久々だと、準太は白い手を真っ赤にしながら思った。
その手から感じるのは、死。
自分のではない。
月を見上げ、ふと思う。
何故自分は、知らない人間を殺しているのだろうか。
知っている人間じゃないだけいいが。
答えなど簡単だ。
―榛名を殺そうとするから―
―榛名を守るためだから―
黒はいい(この最高級の執事服)。
この夜、闇に同化するから。
髪も真っ黒だから、後ろ姿は真っ黒だ。
「月の下じゃなくて、木の下に来い」
こんな姿、晒したくない。
夜はいい(静かだし月はキレイ)。
血を被っても目立たない。
向かってくる黒い衣装を纏う人人人…。
確実に、急所を狙って、一発で。
首を体から切り離す。
噴き出す黒を正面から浴び、塗れる。
次。
首まで届かなければ、ナイフを脳天目掛けて放つ。
3本当たれば確実。
それも届かなければ。
「オレは暗殺者じゃないから、早駆けは出来ない」
そういう風には、育てられた。
「斬る。刺す」
―それが、簡単―
周りを見渡して長い溜め息が出た。
『コレ』を片付けるのかと準太は顔を拭った。
べっとりと、乾き始めているソレはもう気にしない。
手にもついているし、ソレのせいで髪の毛も固まった。
襟元の唯一の白は、月の下に出れば真っ赤だろう。
「今、何時?」
ポケットから時計を取り出し確認すれば、夜中の2時を回っていた。
徹夜だ。
木の下から離れ、月の下に。
庭にはさっきまで自分に向かってきた黒が横たわっていた。
所々、パーツの離れた。
「………」
血は、イヤだ(赤は嫌いじゃないけど)。
キレイじゃないから。
だって、
「キレイじゃない」
これを見れば誰だって思う。
でも、流す人物が、キレイだったら?
「………」
一瞬よぎった、彼。
自分が存在できる、繋がり。
最愛なる主。
「なに考えてんだか」
そんなことある訳ない。
自分がいるのだから。
自分がいる限り、側にいる限り。
彼に血は流させない。
自分の血は流しても。
どれだけ血を被っても。
さぁ、血に塗れた夜を嘆こう
嘆いて、嘆いて、また殺す。
その内嘆く事も忘れるさ。
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