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□吸血鬼パロA
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「……準太…」
「っ…寄んな…っ」
つらそうにベッドに横たわり、破れるんじゃないかって位にシーツを掴んでる準太を、オレは側で見ていた。
「我慢すんなって、飲めば?オレは別にいいから」
「オレがヤなんだよ……っつかもうお前部屋から出てけよ…」
「オレの部屋だっつの」
目も合わせないようになって手も震えてきたこいつは、そろそろ限界なんだなと思う。
今日オレの家に泊まりに来たのが間違いだった。
タイミングなんて、衝動なんていつ来るか分からないけど、過ぎた日を考えればそろそろだって思わなかったのがミス。
吸血鬼の準太がオレの血を飲んで、1ヶ月が過ぎた。
「なんで来る前に血飲んで来なかったワケ?」
「っ血は飲まない…絶対……飲みたくない…!!」
準太は人間のでも動物のでも、血は飲もうとはしない。
『普通の人間じゃなくなる』のが嫌だからって言ってた。
だからよく血のっ気の多い肉…レバーとか食べるらしい。
それでもやっぱり足りないらしくて、よくこういった衝動に駆られるらしい。
「はっ…は…」
「……顔青いぜ?」
「っ………帰る…」
「無理すんなって。今こんな状態で帰ったら、絶対どっかで倒れるから」
「っ…や、触んなっ…!」
起き上がろうとした準太を肩から押さえつけてベッドに貼り付ける。
すると準太はビクッと跳ね上がり、焦ったように手をばたつかせた。
「だめ……寄んなって……!」
「別になんもしねえって。される可能性あんならオレの方だろ」
「だから…もうっ……限界が……っ…!!」
声にならない声を発し静かにベッドに沈んでく準太の、目の色が変わってく。
鮮やかな、紅色。
血の色。
「……準、太?」
「………」
肩から手を放すと、するりと伸びた準太の手はオレの首へ。
優しく引き寄せられ、唇が触れそうなくらい顔が近くなる。
虚ろな瞳の準太が、キレイで。
首筋をゆっくり撫でられ、ぞくぞくした。
そして、頭から抱き寄せられて準太の顔が右肩に埋まったと思った瞬間…。
首を噛まれた。
「っっ…つ……」
いきなりかよ。
口には出さず、心で思う。
じゅうじゅうと音をたてて、無我夢中にオレの血を吸う準太の意識は絶対ない。
初めての時もそうだった。
「っ……明日…貧血かな……」
そう呟いて、オレは今だ飲み終わらない準太の頭を撫でて、邪魔にならないように静かに抱き寄せた。
目が覚めた準太は、オレの前でひたすら
「ごめんなさい…っ!」
と、キレイな涙を流して泣いた。
END.