短編

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「なー、お前から見てオレと高瀬ってどんな感じだった?」


「ええ〜……あんまり言いたくないなあ…」


「いいから言えよっ」


「う〜ん………2人の感じ…。榛名は高瀬さん大っ好きだったよ」


「どれくらい」


「…見た目、デレデレニヤニヤ。口を開ければ、のろけ話」





ヒドかったようだ。




そんな自分が、そんな相手を忘れてしまう程の衝撃。


そこだけキレイに抜けて、生まれる自分の周りの違和感。




それだけ大きかった、存在。








『謝罪。謝ることしか出来ない』


「はあ?なんでお前が謝るんだよ」


『言いたくない』


「なんで…」


『お前が、痛がるような事…したくないんだよ』


「……事故の事?」


『………』


「……なあ」





明日、会えるか?












会って、自分は何を言う?何を聞く?何を、見る?


たくさんある。

関係。事故。記憶。自分。相手。疑問。時間。

それらの答え。




でもそれは本当に知りたいことか?





「とりあえず、今日会うから。聞いてくる」


「…何を」


「………色々」


「…高瀬さんの前で、倒れんなよ」




悲しませるな。





「…分かってる」





あんな目は、させたらいけないんだと。
脳内で理解。心が強く言う。



―多分、体が覚えてるんだろうな…―



自分自身、高瀬が好きかと考えても答えは「別に」。

前の自分なんて想像出来ない。









思い出さなければいけない存在。

それから繋がる全て。居心地の悪かった日常から抜け出る。






―…なんか、オレじゃねえみてえ―






「自分」なのに、「自分」じゃないみたいだ。





周りだけじゃない。





自分も、気持ち悪い。












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