短編

□3
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姿が見える。
手を後ろで組んで、ただオレの方を見ているだけ。



――高瀬



無表情。そこに悲しみや喜びの色はない。



――だって、本当に分かってる?


――抜けてる記憶が、オレだって。




そんなの、





記憶がねえんだから、分からない。


















「…あ〜……高瀬かあ〜…」


「全然ピンとこないの?」


「全くこない。もお…オレ自分が気持ち悪くなってきた」



例えは…。

昔のアルバムを見ていて、「こんな写真あった?いつ撮った?」って。
記憶にないそれを一生懸命思いだそうとするが、結局思い出せず、嫌な気分になる…ような。



携帯に映し出される写真を見ては考え、見ては視線をずらし、覚えのない事を思いだそうとする。

身に覚えもなければ、なにもない記憶を。









「オレ、お前の事忘れてる」


『………』


「携帯の写真見てたら、高瀬とオレ写ってるやつあった。多分、プリクラの」


『………』


「あと、高瀬がゲームしてる姿だったり、寝顔だったり…」


『はっ寝顔?…いつ撮ったんだよ…』


「……なあ」


『…ん』


「オレ、お前とどういう関係だったの」


『………』


「普通の友達って、」








キスとか、するの?






「これが高瀬とキスしてるプリクラ画像」


「ちょっ…見せんな!恥ずかしい!」


「見た目からして、高瀬が女役?まあそうだよなーオレが女役だったら飛ぶわ」


「ここ3階」


「そおいう意味じゃねえよ」












『………』


「…なんか言えよ」


『………なんか』


「………」


『………ぐっ…』


「自分で言って自分で笑うな」


『くっはは……。ふう………オレに何て言われたいんだよ、お前』


「本当の事、全部」


『そのお前の携帯が本当の事、全部』


「………お前の口から聞きてえ」


『…………オレが、お前に言える事は』











謝罪



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