短編

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「…で、電話してみたと」


「おぉ。すげー驚いてた」




次の日の武蔵野第一。

休み時間にたまたま会った秋丸を捕まえて、昨日の事を笑いながら話した。


細かく書かれていた高瀬のページ。

電話番号、メールアドレス。
誕生日や血液型、住所まで記録されていて軽く引いた。

身に覚えがないから。



だが、興味本位で電話をかけてみた。





『…っはい…』


『あ、でた。高瀬…ああいや準太か』


『っなんで…?』


『いや…なんでかな…』


『……ふふっ、変なの』





あまり長くは話さなかった。
話したいことは特になかったし、時折暗くなる高瀬の声色が気になったから。



自分は嫌われている?なんて思ってしまうが、




「いや、そんな事はないと思うよ」


「なんで分かるんだよ」


「高瀬さんって、すごい優しいよ?大人だよ榛名より何倍も」


「バカにしてんのか」





そんな話をして、なぜ自分の携帯に高瀬のアドレスが登録されていたのかという疑問の話に戻る。


知らないと返され、怒鳴った。




「てめえっ手伝えよ!夢の話してんだし…つかお前知ってんだろ!オレの知らない事!!」


「ちょっ…榛名っ苦しいから…!!」



胸ぐらを掴み上げ、秋丸が苦しそうに声をあげる。

ギリギリと締め上げればギブアップを表す手の動きが激しくなる。


過ぎていく同級生たちの視線なんて気にしない。


手を放せば当然つらそうな咳払い。

榛名は特に詫びない。




「お前なに知ってんだよ。吐け。知ってる事全部」


「ゲッホ…っう〜、ええ?」


「昨日オレを島崎さんに会わせた理由。利央もそうだし、しかも利央に関しちゃ違和感があった。あいつがオレに突っかかってこないのも疑問だし。つか…ん、ああいいや!とにかく!」



オレが忘れてる事全部言え!



そう言うと、困ったように笑われた。





「…自分で思い出さないの?」





















部活終了後、部室には榛名と秋丸。


話せる範囲だけ話す、と秋丸は榛名に部活後残るように言った。



既に着替えた後、榛名は秋丸と軽く距離をとって座っていた。

秋丸はその点には何も言わない。だが1つ。




「…睨まないで」


「早くしろ」


「ちょっと待ってよ…」



秋丸はただ呆れたように笑うだけ。

バッグにユニフォームを入れ、軽く息をついて、座る。





「まずね、1つ言っておかないといけない事があるんだよね」









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