短編
□あなたを待ってる
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「榛名、今日放課後ちょっといいかな」
朝練後に、すでに着替えた秋丸が言ってきた。今日の放課後は部活がない。休み。
特に予定もないしと、榛名は特に何も聞かずにオッケーした。
そして放課後に、玄関で聞いた。
「で、どこ行くんだ」
「どっか。待ち合わせしてるから、その後一緒に行く」
「どっかって…待ち合わせぇ?誰かと一緒なのか」
「うん。大丈夫大丈夫、すぐ馴染むよ」
嫌そうに言えば、いや実際嫌だ。自分の知らない人に会うという事があまり好きではない。
それは知っているはずなのに、秋丸は話を進める。
電車に乗って、少し歩いて、相手は部活のミーティングがあるという事で少々遅れるが、相手の通う学校前で待ち合わせ予定。
「相手も野球部だから」
それを聞いて、少し安心した。
適当に、なんとかなるかと思った。
電車に乗って、15分程歩いてついた学校は、
「…でけえ…」
学校は初めて見た。デカい。広い。奥に見えるのは教会ではないのだろうか。
学校名は知っている。そりゃ知っているさ。名前ぐらいは知っている。
名門、桐青高校。
去年の優勝校、甲子園出場。
秋丸は、桐青に友人がいたのか。
榛名は横目で秋丸を見る。
同じく、榛名の表情を伺っていた秋丸は榛名が横目で見たので目が合った。
そこで榛名が低く声を発した。
「お前、こんなとこに友ダチいたのか」
「うーん、まあ友達というか。…知り合っちゃったって感じで」
「はあ?」
「まあまあ、いい人達だから」
そんな曖昧な関係なのか?
色々と聞きたいが面倒だと、榛名は壁に寄りかかり、その曖昧な秋丸の友人を2人で待った。
それから20分程。
「…秋丸、くん?」
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