短編
□Good night
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ゆっくりベッドに体を預け後ろから倒れる。
重力に逆らうことなく沈んでいく体。
―…キモチイイ…―
風呂上がりの熱い体にベッドの冷たさが気持ちいい。
襲ってくる眠気。勝てそうにない。
今日も疲れた。たくさん投げた。打った。走った。
榛名はゆっくり瞳を閉じた。
そして直ぐに聞こえてきたのは、規則正しい呼吸。
それも、とても穏やかな…。
◇◇◇
「…榛名?」
榛名の家に泊まりに来ていて、今まで風呂に入っていた高瀬が部屋に帰ってきた時には、既に榛名は深い眠りについていた。
―珍しい―
榛名が早々寝るなんて。
近寄り顔を覗いて、完全に寝ている事を確認する。
『髪の毛、濡れっぱなし』
少し猫っけの髪をいじり、撫でる。
相当今日は疲れたのかな、と思いクスリと微笑む。
「…お疲れ」
バスタオルを適当にイスに引っ掛け、電気を消してベッドに乗る。
ゆっくり、起こさないように。
下に敷いている布団をゆっくり抜き取り優しく体にかけてやる。
その榛名の横に高瀬も横になり、一緒の布団を被る。
ふうと息をついてなんとなく、横で既に寝ている榛名の顔を見る。
落ち着いた呼吸。
ぐっすり寝てる。
―…カッコイい…―
「っ…ん」
もぞっと動き、高瀬の方を向いた榛名の瞳がうっすら開く。
「……ぁ…」
「…ん?」
「あい…してる……」
小さく、でもはっきりと告げられた台詞。
それ同時に抱き締められた体。
熱い。
榛名の体も、
自分も。
そしてまた穏やかな寝息。
しっかりと腕と胸の中に収められてしまった体。
「……反則だって」
広くがっしりとした大好きな胸に顔を埋め呟く。
聞こえる心臓の音。
心地いい。
伝わってくる体温。
心地いい。
―…あったかい―
榛名が、
体が、
心が。
「おやすみ」
‖END‖