短編
□七夕
1ページ/2ページ
「今日って七夕だな」
「え、今日…7月7日?」
「ん」
「あ〜そっか」
「あれだ…彦星と織り姫が会うんだろ今日?」
「あれってさ、何で1年に1回しか会えないんだっけ?」
「確か…。2人ともお互いを想って想いすぎて、それを親が引き離したんだろ?んで会うのを1年に1回にしたんじゃなかったんじゃ……ああもう分かんね」
「ま〜アバウトだけどそんな感じなんだな」
「だったと…。こーゆーのは女に聞いてくれ」
「ん〜。……七夕って何する日だっけ?」
「何…する?…短冊に願い事書いて笹に吊すとか?」
「笹ねぇし」
「そっち?なに書くの?」
「まあ暇だし暑いし」
「暑いの関係あんの?」
「折り紙折り紙…お、あった。はい、破んのめんどくせーからンのまま書こーぜ」
「っわ、なんか変なの。デカすぎじゃね?」
「願い事いっぱい書きゃーいいじゃん」
「んなにねぇし」
「オレいっぱいある〜」
「だろうな」
「まずプロになって〜、外国行って〜」
「オレ…甲子園にしようかな…」
「んで有名になって日本戻ってきて〜、準太と結婚して〜」
「んで……ってちょっと待ておい」
「ガキは…何人だろ…」
「落ち着けオレ子供は産めない、そして話を聞け」
「ま〜ま〜、夢だから」
「………」
「………何?」
「……叶わない夢は、悲しいだけだよ榛名」
「準太…」
「………」
「………」
「………甲子園行って…」
「じゃあぜってー叶う夢にしよ。っつか夢じゃなくてぜってーなるコト。聞け」
「…はあ?…さっき言った事気にしたんなら謝るよ。っつか聞けって命令かよ」
「オレ書かねえから準太も書くな」
「…いいけど…」
「プロにはなる。外国も行くし有名にもなる」
「どーぞ?」
「そん時は準太も一緒」
「………はっ…」
「外国一緒に行くんだよ。準太はオレの嫁になるんだ」
「……さっき言った事と変わらなくねぇか?」
「子供はいない。日本に帰ってきてから結婚じゃない」
「んなの…」
「ずっと一緒って事だよ」
「………」
「今もこれからも、ずっと先もオレらは一緒って事だよ」
「ずっと…」
「オレは準太を手放す気なんかねえ。ずっとオレの傍にいるんだよ」
「………」
「ぜってーなる。準太もオレが好きだから別れるなんてあり得ねえからな」
「……」
「……」
「…何が違うんだかな。チョー俺様じゃん、ムカつくほど」
「知ってるクセに」
「まあな。………ずっと、か」
「一生でも」
「………」
「………」
「…ま」
別れる気もないし
やっぱ
ぜってーなるコトなのかな
―それも悪くねえか―
‖END‖