保管所

□風船の向こう(かいけつゾロリ)
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「はい。好きな色を選んでね」
「まあ、とっても綺麗な風船ね!私、赤を選ぶわ、ありがとう」
「僕はこの青い風船にするよ、ありがとうクマさん」
「どういたしまして」
一組の男の子と女の子が、それぞれ自分の好きな色の風船を選んで駆けていった。

天国には幼くして死んでしまった子供たちも数多く住んでいる。ひょんなことから地獄からこんな場所にやってきた、「元悪魔のクマ」にとって、確かに楽しいところではある。だが、毎日ただ遊んでいるのは忍びなかった。クマは何かできることはないでしょうか?とゾロリーヌに相談してみた。ゾロリーヌは彼を褒めて、そしてこの風船配りのボランティアを紹介してくれたのだ。それ以来、数日に一回のペースでこの公園内で働いている。

「クマさん、頑張ってるわね」
「あ、ゾロリーヌさん、お帰りなさい!」
現世から戻ってきたゾロリーヌがクマに声をかけてくれた。あの表情は、何か収穫があったに違いない。
「どうでした、ゾロリさんは?ミャン王女にプロポーズはできましたか?」
「残念だけど、まだ駄目そうね。でも、面白かったわ。幽霊になるのも久しぶりだったしね」
ゾロリーヌは近くにあったベンチに腰掛けて、現世での出来事をクマに語り始めたのだった。
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