おはなし。

□猫の恋
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俺ってイイ相談相手キャラだと思わない?

突然サクマからLINEで送られてきた言葉。
サクマはいつもニュートラルだ。
誰のことも過剰に責めない。
実は密かに尊敬してるし、真似してる。

いつもそうありたいと思ってる。

…けど、俺って割りと粗忽者だと自覚してるし、それを自分で回収しようとはしてるんだけど後で思い返すと恥ずかしい結果になってることも少なくなくて。

生きてればしょうがないかと言い聞かせてる今日この頃。
出来れば冷静沈着でありたいなぁ。なんて。

えと、まぁそんなわけでニコニコなサクマをリスペクトしてるとこもある。

だけど、見透かしてるみたいに言われるとやっぱ腹立つっていうか、この件に関しては恥ずかしさしかないわ。

この件っていうのはめめのことなんだけども。

突然ナニ?は?

って送って放置しておいた。


『そりゃないぜ、阿部ちゃん。』

『わ!脅かすなよ!いたのかよ。』

打ち合わせが終わったのか、サクマがドアの隙間からデッカイ目をパチパチさせてる。

『で?お兄さんに説明してみなさいな。』

『だから、は?』

『水くさいなー。俺と阿部ちゃんの仲じゃん。洗いざらい吐きなさいって。』

わざとらしく言って、後ろ手でガチャンとドアを閉めた。
ドアの外は行き交う人のザワザワで少しうるさい。
対して内側は静かだ。

『なんもないよ。何かあるみたいに言うな。』

ここんとこ、おかしな漫画の主人公になったみたいだ。
どうしちゃったんだ皆。そんなに俺がフラフラしてるように見えるのかな。

『プロポーズされたんだって?』

『はぁ?』

『めめ臨戦態勢みたいだけど。アイツとどっかで会わないすか…とか物騒なこと言ってた。あは!』

はぁ…。

これだよ。

『めめ、勘違いしてんだよ。あの人なりのリップサービスっていうか…盛り上げようとしてくれただけだよ。それをさ、しかもアイツなんも関係ねぇじゃん。』

『オレやるときゃやるから。』

ふぃに低い声がした。
本当に【いつの間にか】ってあるのな。
いつの間に入ってきたのか、めめがいる。

『オレ、ご飯食べなきゃ。』

次の予定までに食べないと食いっぱぐれるってのは本当だし、逃げたい。一刻も早く。

『ちょ、なんで逃げるんすか。』

わ、敬語。怒ってる。

『違う、時間無いから離して。』

ドアノブに伸ばした手首をホールドされて、ちょっと目が見れない。視線をはずした先にサクマが見えて…

『サクマ!時間ねぇよな!?そうだよな?!』

『ふふ、そうだねぇー。めめ、マジだから離しな。』

めめは多分俺をじとっと見て仕方なさそうに手を離した。

助かった。


『落ち着かせといたけど、ちゃんと俺に話してよね。じゃないと、けしかけちゃうかもよ(^∇^о)』

サクマ…

『とりあえず、ありがと。でも何もないから。』

返信。

『このままメッセージ見せちゃうゾ( `・ω・´)ノ ヨロシクー』

『夜、連絡する。でも何もないから!!』

『りょ!( ゚∀゚)ノシ』

本当に何もない…よな?
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