おはなし。
□似て非なり
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うそ…寝れたわ
久々に満足いく位に寝た。
眠れたくらいで騒いでるのは理由があって…
俺は基本的には非科学的なものって信じてない。
何かしらの根拠があれば飲み込みやすいし、納得できた。
だから、まぁ…幽霊とかはちょっと怖い気持ちもあることはあるけど、あんま気にしてない。
そんな俺なので、オマジナイなんて毛頭信じてない。気休めというか…
自分がボソッと呟いたことが雪だるま式に大きくなるもんだなと己の事ながら少し後悔
雪だるまだって…あは。
誰も聞いてないのにうまいこと言っちゃってる自分に頭の中で乗り突っ込みしてしまった。
なんだか最近ペースが乱れる。
仕事柄タイムスケジュールはガタガタだけど管理してるつもりだったんだけどな…
『元気ないすね』
なんてアイツに言われてしまった。
照にはちょっと寝付きが悪いとはぼやいたけど。
アイツ妙に勘がいいから、気を付けなきゃって思ってたんだよね。
そんなこと気を付けなくても良かったのに。それは長いこと同じ面子で動いてたからニュアンスでわかってもらってたからだ。
それに気づけただけ良しとしよう。
周りに甘えてたってことかな。
それにしてもオマジナイだって。
あんな大きな体して可愛いこと言ってんな。
情報源はラウルかな。女子高生だって…
あれから、無意識に右手首をさする癖がついてしまった。
今日も『痛いの?』と言われてはじめて触ってるのに気づいた。
咄嗟にめめの方見ちゃいそうになったけど、頑張って耐えた。
何?あいつ。
ここんとこ変なんだもんな。
懐かれてるのかな…それにしてはコージやラウルなんかとは態度が違うし、正直扱いに困る。
扱いに困るっていえば、あいつ俺を女の子扱いしてるよなーって時あるから。
さすが全国民の彼氏。あ、被っちゃう。
じゃあ別のネーミングにしよう。う〜ん…
『あれ?阿部ちゃんひとり?』
『うん、たぶん前のやつが押したんだと思う。』
ふぅん、と横を向いた顔がしっとりとしていてアレ?と思って窓の外を見たら
『降ったんだ。』
そーだね。と低い声で聞こえた。
前髪をふるふると振ったのが大型犬みたいで笑える。黒のラブラドールかな。ふふ。
『あ、やっぱなって思ったでしょ。』
え?
『天気わかっても傘持たねぇだろって…』
『あぁ、そうだよ!なんで聞くんだよ。』
ふざけて言うと、こちらを向いためめの前髪に滴が光るのが見えた。
咄嗟に持ってたハンドタオルで押さえると、めめは目玉をまん丸にした後ゆーっくりと目の形を弓なりに変えて『ありがと、阿部ちゃん』と見つめてきた。
これだからモテる系統の生まれは困るわ。
慣れてるのはアイドルだから良いとしても、何で俺にモテテクみたいの出すか。
こんなだから。
『阿部ちゃん、マジナイきいた?』
ウッ。とうとう来たか、その話。
なるべく2人にならないようにしてたのにー。
『効いたけど、効いたのかな?わっかんない。』
そうなんだよな。グッスリだったんだよ。
久々に。
うわ、マジ!などとめめは喜んどるが、これ以上はやぶ蛇になりかねんから誰か来てほしい。
『そっか、効いたなら、寝れたなら。』
ブツブツ言ったかと思ったら、静かになってしまった。
このまま部屋を出よう。
ドアノブに手をかけた時、ふわっと目の前に影が出来て振り替える。
『ちかっ!何?ディスタンスは!?』
『どこ行くの?』
質問に答えずに質問で返される。
自由人だ。現代っ子だ。
すぐ後ろに立っためめは圧迫感がすごくて、思わず姿勢を低くして逃れようとした
すると、何故かこんな時は素早く動く目黒蓮は一緒に屈んできた。
しかも、楽しそうに笑ってる。
『お前ねぇ。遊ぶなら他の奴にしなよ。』
何かと構ってくる機会が増えてきていて、正直身構えてる。
『遊びじゃないから…』
え…聞き捨てならないヤツ、キター。
とか、萌えてる場合じゃなくて。
気づけば完全にめめに包囲されてる形で、え?いつの間にとか思っていたら寄りかかっていたドアが開いた。
わ!
そのまま仰向けに倒れたら真上に佐久間のキョトンとした顔が見えた。
『お?阿部ちゃんナニしてんの?かわい。』
あからさまにホッとした俺は何か佐久間の可愛いツボにハマったポーズをしてたらしい。
『佐久間たすかった…』
『はぇ?』
俺の後ろを肩越しに見た佐久間は一瞬笑ったみたいだったけど。
めめはどんな顔してたんだろ。
『阿部ちゃんが、よく眠れますように。』
そうしてくれたオマジナイ。
効いたんだけど…
まだ伏線がありそうで怖い俺です。