文ストの短編

□好きが言えない理想主義者
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(国木田視点)

俺の名前は国木田独歩。
現実を往く理想主義者にして、理想を追う現実主義者。

そして、現在。
武装探偵社の事務員である名無しさんさんに、密かに恋慕の情を抱いている。

・・・とはいえ、彼女を狙う男は多い。
魅力的な人だから、そこは仕方ないのだが・・・。
あの太宰もしょっちゅう名無しさんさんを心中に誘ったり、デェトに誘おうと画策し声を掛けている。
太宰だけではなく、あのポートマフィアの禍狗である芥川まで、なぜか名無しさんさんに執心しているらしい。
何故だ・・・敵対組織のはずだろうに。


・・・まぁ、芥川はともかく。
駄目人間が服を着て歩いているような太宰はやたらその・・・モテる。
彼奴が名無しさんさんを好きだというのなら、尚更手をこまねいてはいられんだろう。

幸い今日は非番の人間が多く、残っていた人員も全て別件で出払っている。
この事務所にいるのは名無しさんさんと俺だけだ。

そう考えては今日こそ、彼女に告白をしようと意気込みながら声を掛ける。
・・・この前、好きだと告げようとしたら入水帰りの太宰が大声で声を掛けてきて邪魔をしてきおった。
まぁ、その後投げ飛ばしたが。・・・八つ当たりではない。断じて。


ともかく、失敗は許されん。


恋愛に関し、経験はないため理想通りに事を運ばせられるか少し自信がないが・・・いや
それでも、今回こそは彼女に想いを告げる。
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