刀語の短編
□にゃん刀 鉤
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『かぎ・・・って鉤爪のかぎ、ですか?』
「恐らくはな。」
凄い名前の刀もあるんだなぁ。絶刀 鉋とかは分かるけど、にゃん刀・・・にゃんか・・・。
左右田さんの不機嫌さにも理由が分かった気がする。確かに言いにくいよね。
・・・もしかして、姫様はこの流れを狙って
私に詳細を伝えなかったんじゃ?
い、いえ、いくら姫様でも違うよね!違いますよね!!・・・だよね?
・・・そして、そこから歩いて十数分後。
私達は洞窟の奥で桐でできた箱に収められた一対の鉤爪を発見した。
刃は大きく、長さもそれなりにあるけど所々猫の肉球の装飾があちこちにあつらえてあってとてもかわいい。
いや、これ本当に武器なのかな・・・?
『これ、でしょうか・・・?』
「不遠(遠からず)
恐らくはそうだろう。ほかにそれらしき物体はない。元の所有者の姿も確認できない。
・・・だが、不備があってもいけない。
念のために確認するか。」
そう言って左右田さんが鉤に触れる。と、次の瞬間まばゆい光がいきなり鉤爪から発せられる。
「っ、名無しさん!離れろ!!」
『え!?え!?なにこれ!!
っ、左右田さん!』
もし何かの罠だったら危ない、と左右田さんのいる方向に手を伸ばす。
けど真っ白なその光は強すぎて私の手元くらいしか見えない。
とっさに彼のジャケットの裾をつかむ。