記憶のカケラ
□4話
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『じゃあ僕はここで』
遠藤「あ、はい」
『明日から宜しくお願いします』
遠藤「こちらこそ、宜しくお願いします」
交差点で遠藤さんと別れ、1人で家へと向かう。
『ただいま』
母親「あら、おかえりなさい、遅かったわね」
『うん、ちょっと図書室で本読んでた』
母親「そうなのね、良い本はあったのかしら?」
『いっぱいあるよ、だからこれからもこの時間に帰ってくるかも知れない』
母親「全然大丈夫よ、さ、ごはんにしましょ」
『うん』
自分の部屋に戻り、部屋着に着替えて、洗面台へ行って、リビングに向かった。
『いただきます』
母親「はいどうぞ」
『...うん、美味しい』
母親「あら、そう?なら良かったわ」
『いつも病院食だったし、こっちの方が全然良い』
母親「そう...」
『そう言えばあやめは?』
母親「あぁ、何かお友達の所でお泊まりでお勉強するみたいよ」
『え、もう友達の所で泊まるの?早いね』
母親「ね、ビックリよね」
『まぁでもあやめならコミュニケーション能力高いし、すぐ友達も出来そうって思ってたから良かったんじゃない?』
母親「そうね」
あ、あやめと言うのは、僕の妹。
今はまだ中学3年生で来年高校生になる。
でも、中3でこっちに引っ越して受験とか友達とか大丈夫かなって少し思ったけど、どうやらそんな事もないみたい。
あやめには僕と同じ人生を歩んでほしくない。
母親「そう言えば、学校はどうだった?」
『ん?まぁ普通だったよ』
母親「そうなの?快斗君とはもう会ったの?」
『うん、同じクラスだから安心してる』
母親「そう!ならお母さんも安心ね」
『うん、ちょっと皆といるとしんどかったけど、慣れていくしかないかなって』
母親「あまり無理しちゃダメよ?
私から行って来なって言っといてなんだけど、辛かったらすぐ言いなさいよ?」
『分かってる、ありがとう母さん』
母さんは少し心配性でもある。
だから僕が病気の事で色々苦労してるのは誰よりも知ってるから、母さんにはなるべく楽をさせたいって理由で、家事を比較的する様にした。
両親がいない時とかは、あやめの為に料理をしたり溜め込んだ洗濯物をしたり、出来る事は自分からする様にして、少しでも母さんが楽になってくれればそれで良い。
僕の為にあまり時間を使ってほしくない。
皆の幸せが、僕の幸せだから...