短編

□三角関係?
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バタン。
勢いよく倉庫の扉を開くと。
「あ…」
「あ?」
「名無しちゃん…」
イケメンふたりが壁ドン中だった…。
振り返ったふたりと目が合うと、気まずい空気が辺りに漂った。
一瞬固まった思考が再び動き出し、フル稼働した結果。
「…おじゃましました」
ありきたりな言葉を残し、握ったままだったドアノブを手前に引きながら、同時に、一歩部屋へ踏み込んだままだった右足を身体のほうに引き寄せた。
「名無し!」
「ちょっ、名無しちゃん。待っ…」
バタン!
開けたときより勢いよく扉を閉めたわたしは、全速力で女部屋へ駆け込んだ。

あれは3日前。
船番を任されていたわたしは、用事が済んで帰って来たロビンと交代で、町へ出かけた。
割と大きめなこの島は、もうすぐクリスマスということで、随分賑わっていた。
そういえば、ゾロのクリスマスプレゼント、何にしようかな…。
お酒?チョッパーの誕生日もあるし、サンジくんが何かいいお酒用意してそう。
刀?素人にはわかんないし、買えないよ。
じゃあ、アクセサリー?そもそも興味なさそうじゃない?
う〜ん、何にしよ…。
散々悩んだ果てに、わたしは昨日たまたま立ち寄ったアクセサリーショップへ行くことにした。
アクセサリーなんて興味なさそうだけど、アレなら気に入ってくれるかな?
暫く歩いて昨日立ち寄ったショップを見つけ、扉に手をかけたところで、わたしは止まった。
中に、知ってる人がいたから。ふたりも。
中では、戦闘時以外は犬猿の仲なふたりが、にこにこしながらお互いにアクセサリーをつけ合っていた。
あまりに衝撃的な光景を見てしまい、なんとなく入ってはいけない気がして、わたしは扉に掛けた手を離し、クルッと向きを変えた。
そして、サニーへの帰り道。
「あっ、もしかして…」
わたしは気がついた。
ゾロとサンジって、そうゆう関係?わたしの中に、小さな疑問が浮かんだ。

それからの、さっきの壁ドン。
やっぱり間違いない。あのふたりはそうゆう関係だったんだ。
だから、つきあってるのに、わたし一度も手出されなかったんだ…。
たどり着いた結論は予想外のものだったけど、全てが繋がって不思議と納得できるものだった。
はずだけど…。
「ゾロ…」
胸が痛いのと、零れる涙は止められなかった。
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