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□鬼灯様と雪鬼
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「聞く耳持たねェと、お前の家の前にデスコを建てて、夜通し踊り明かしてやるぞう‼」
「『デスコって』」
古い言い方に思わずツッコミを入れる鬼灯と名前。
「じじい出て来いや!」
ガンガン、バキベギ
塔を蹴り続ける春一。
「オイやめろ‼」
塔の窓から長の叫ぶ声が聞こえた。
中には摩訶鉢特摩(まかはどま)の長も一緒にいるらしい。
長達は何か話しているらしく、
「そういう理屈だったのか。」
納得する鬼灯に、
『何の事です?』
名前が首をかしげ訊ねると、
「春一さんが裸になる理由です。塔の中で長達が話していました。」
教えてくれた。
『あぁ、雪で濡れるなら、最初から裸の方が快適ってやつですか。』
それを聞いて納得する名前。
白熊だけが、
「鬼灯様、地獄耳ですね。名前、気にする所がずれてるよ。」
二人にツッコミを入れていた。
「いつも敬え敬えうっせーぞォ‼そういうこと言う奴を敬えるか糞じじい‼閻魔様はなァ‼できた人だぞう!僕ぁ、ああいう人が一番敬えると思ってんだ‼」
春一の叫びに、
「ありがとうございます!伝えないでおきます!」
叫び返す鬼灯。
「なんで⁉是非伝えてあげましょうよ!」
白熊が言うと、
「調子こくからダメ。」
鬼灯は即答。
『多分、服は来た方が話を聞いてもらえると思よ?』
「マジで⁉最初から言ってくれよぅ」
その隣で名前は、そう言って春一に服を着せた。
「言わなくても普通、わかるのですが……」
呆れる鬼灯に、
「俺も疲れたから着ろ。限界。」
グッタリする白熊。
ごそごそと服を着ると、また塔を蹴りだす春一。
ついには臛臛婆の長が窓から顔を出し、二人の言い合いが始まって、更にヒートアップする。
「名前、お前も見てないで、春一を止めろよ。」
白熊が言うが、顔を引きつらせ、
『俺に春一を止められると思う?無理無理。』
死んだ目をして即答する。
「……そろそろ止めましょうか。」
白熊と名前のやり取りを見て、成案する鬼灯に、
「……お願いします。」
白熊が言った時……
「これ、おやめ春一。」
摩訶鉢特摩の長が窓から顔を出した。
しかし、摩訶鉢特摩の長の言うことを聞かず、なお口答えする春一。
春一を止めようとする鬼灯に名前が、
『あっ、鬼灯様待って。』
待ったを掛けて、
『これヤバいやつ……鬼灯様、クマ、春一から急いで離れて!』
名前がそう言った瞬間、
「あっヤベ。ごめん。」
春一が慌てて、摩訶鉢特摩の長に謝るが既に遅い。
春一と臛臛婆の長が、摩訶鉢特摩の長の息によって氷漬けにされた。
『やっぱり、こうなった……』
呆れる名前と、
「あ〜〜〜久々に見た……摩訶鉢特摩の長は、やっぱおっかねぇやなあ……」
氷漬けになった二人を見て呟く白熊。
「そういや雪女でしたね。名前さんのお陰で、巻き込まれずに済みました。」
鬼灯はそう言って、氷漬けになった二人を写真に撮った。